レピリナスト(M群)のアトピー性皮膚炎に対する有用性を検討するため, すでに有用性が確認されているトラニラスト(T群)を対照薬とする多施設二重盲検比較試験を全国27施設において実施し, 以下の成績を得た。
1)総症例217例(M群: 107例, T群: 110例)の内, 開始日以降来院しなかった9例は完全除外, 残りの208例(M群: 105例, T群: 103例)を概括安全度の解析対象とした。さらに, 試験規約違反例などを除いて, 最終全般改善度は170例(M群: 84例, T群: 86例)を, 有用度は175例(M群: 87例, T群: 88例)を解析対象とした。患者背景については, すべての項目で両群間に有意な偏りはなかった。
2)皮膚所見の段階改善度の推移及び経時的全般改善度については, いずれの週においても両群間に有意差はなかった。
3)最終全般改善度については, 「改善」以上でM群52.4%, T群48.8%で両群間に有意差はなかった。
4)概括安全度についてはM群では「安全性に問題なし」が96例(91.4%), 「安全性にやや問題ある」が8例(7.6%), 「安全性にかなり問題ある」が1例(1.0%)で, T群では「安全性に問題なし」が101例(98.1%), 「安全性にやや問題ある」が2例(1.9%)で両群間に有意差が認められた(U検定, p=0.033)が, 副作用発現率においては, M群8.6%, T群1.9%で両群間に有意差はなかった(Fisherの直接確率計算法)。
5)有用度については, 「有用」以上でM群47.1%, T群47.7%であり, 両群間に有意差はみられなかった。
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