抄録
ダニ抗原に対しIgE-RASTスコア2以上の陽性を示すか, スクラッチテストで陽性を示した比較的難治性のアトピー性皮膚炎患者に, 当科外来においてダニ駆除の指導を行い, その臨床症状におよぼす影響を調査した。その結果, 充分なダニ対策を行うようになった43例中, 内服, 外用共に不要となり略治に至った「著明改善」例は3例(7.0%), 内服あるいは外用を時に行う程度で治まるようになった「改善」例は20例(46.5%), 内服, 外用を常に必要とするが, 以前より症状の改善がみられた「やや改善」例は15例(34.5%), 不変は5例(11.6%)であり, 全体として38例(88.4%)に臨床症状の改善が認められた。今回の調査はアンケートが主体であること, 他の治療法との併用の上に行われていることなど問題点はあるものの, ダニ対策の高い有用性が示唆された。