西日本皮膚科
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治療
皮膚科領域におけるMeropenemの検討
Meropenem研究班
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1992 年 54 巻 4 号 p. 770-775

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抄録

われわれは多施設協同研究により, 新しく開発された注射用カルバペネム系抗生物質meropenem(MEPM)を皮膚科領域感染症患者に投与し, その臨床効果を検討した。MEPMの抗菌力, 皮膚組織移行についても検討した。投与対象となったのは比較的重度の49症例であり, 1日500mgあるいは1000mgを3∼16日間投与した。成績は, II群のせつ, せつ腫症およびIV群の蜂窩織炎, 丹毒, 表在性リンパ管炎に対しては, 有効率100%(24/24)であったが, V群の慢性膿皮症およびVI群の二次感染に対しては, きわめて重症なものがあったため有効率は, 各77.8%(7/9), 69.2%(9/13)とやや低かった。副作用および臨床検査値異常は特に重大なものはみられなかった。主な起炎菌であるStaphylococcus aureusの消失率は80%(12/15)であった。また, 治験で分離されたS. aureus 12株に対するMEPMのMIC50は0.39μg/mlであった。MEPM 0.5gを30分かけて点滴投与した後の皮膚内移行を検討したところ, 投与終了後30分では12.6μg/g, 3時間では0.45μg/gでMIC50の値を上回り, MEPMの優れた臨床成績を裏付けていた。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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