西日本皮膚科
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治療
皮膚科領域細菌感染症に対するTemafloxacin顆粒剤の臨床的検討
漆畑 修浅島 裕雄斉藤 隆三
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1993 年 55 巻 3 号 p. 527-532

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抄録

新しく開発されたニューキノロンカルボン酸系の合成抗菌剤であるtemafloxacin顆粒剤を皮膚科領域細菌感染症患者27例に使用し, その有用性と細菌学的効果について検討した。投与量は1日300∼600mg, 投与期間は4日∼10日で, 総投与量は1.5g∼6.0gであった。疾患群別の有効率は第I群83.3%, 第II群100%, 第III群50%, 第IV群100%, 第V群88.9%, 第VI群100%, 全体で88.9%であった。副作用は1例で嘔気と下痢が見られ, 臨床検査値異常変動は1例においてGPTとγGTPの上昇が観察されたがいずれも一過性のものであった。有用性の検討では, 疾患群別の有用率は第I群83.3%, 第II群100%, 第III群50%, 第IV群100%, 第V群88.9%, 第VI群100%, 全体で88.9%であった。細菌学的検討では20例から菌が分離され, 除菌率は87.5%であった。また分離されたS. aureus, CNS, P. acnesに対するMICを測定した結果, temafloxacin(TMFX)はいずれも他のキノロン系薬剤であるNFLX, OFLX, CPFX, ENXと同等もしくはそれ以上の優れた抗菌力を示した。以上の結果より, TMFX顆粒剤は皮膚科領域感染症に対し有用な薬剤であると思われた。

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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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