西日本皮膚科
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55 巻 , 3 号
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図説
綜説
症例
  •  
    川平 正公, Shah Ataur RAHMAN, 宮内 秀明, 瀬戸山 充, 田代 正昭
    1993 年 55 巻 3 号 p. 420-424
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    6∼7歳頃から, 右膝のそう痒のある褐色斑で始まり, 右臀部から右下肢に列序性に配列する皮疹を認めた41歳女子のlinear porokeratosisの1例を報告した。また, 正常皮膚とlinear porokeratosisの生検材料を用いて免疫組織化学的検索を行った。その結果, 抗involucrin抗体を用いた染色所見は, 正常皮膚では, 顆粒細胞層と有棘細胞層上部1/3が均一に陽性を呈し, 自験例では, 角層を除いて表皮上層1/3が顆粒状に陽性を示した。抗サイトケラチンAE1抗体を用いた染色では, 正常皮膚で基底層のみ陽性を示したのに対し, 自験例では, cornoid lamellaは陰性, 表皮基底層は陰性, 有棘層は陽性であった。抗サイトケラチンAE3抗体を用いた染色では, 自験例は正常皮膚と同様の所見であったが, cornoid lamellaは陰性, cornoid lamella以外の角層は陽性であった。これらの免疫組織化学的検索によりとくに, cornoid lamella直下の表皮細胞の分化異常が示唆された。
  • —抗Ro(SS-A)抗体陽性Sjögren症候群とLupus ErythematosusとのOverlapの認められた2症例—
    麻生 和雄, 青木 武彦, 前島 啓孝
    1993 年 55 巻 3 号 p. 425-430
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Unusual variant of lupus erythematosus or lichen planus(UVLP)の2症例(76歳, 女, 42歳, 男)を経験した。両症例ともに下肢あるいは手掌, 足蹠に境界明瞭な紫赤色の円盤状狼瘡様皮疹を認めた。症例は臨床, 病理, 蛍光抗体法でCopemanらのUVLPに一致した。両症例とも抗Ro(SS-A)抗体陽性Sjögren syndrome(SjS)/lupus erythematosus(LE) overlapを併発していた。Copemanら以降, UVLPの欧米·本邦報告は30例に達するが, その独立性, 病態についてなお明らかでない。自験例での抗Ro(SS-A)抗体陽性SjS/LE overlapの併発は, 同様な抗Ro(SS-A)抗体陽性SjS/LE overlapである凍瘡状狼瘡のようにUVLPが, 特異的な皮疹を有するcutaneous LEの1型であることを強く示唆するものであった。
  • 大倉 光裕, 窪田 泰夫, 溝口 昌子, 柿本 伸一
    1993 年 55 巻 3 号 p. 431-434
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    70歳, 女子。手背に環状紅斑, 腹部に紅斑, 下肢には浸潤性赤褐色紅斑が散在する汎発型環状肉芽腫の1例を報告した。組織は下肢ではpalisading granulomaが真皮と皮下組織のレベルの深さにまで散見され, 手背では組織球の膠原線維間での浸潤増殖が主な所見であった。75g OGTTにて糖尿病型を示し, 血小板凝集能の亢進を認めたため, 食事療法と抗血小板療法を試みたところ皮疹にも軽快傾向を認めた。
  • —10年間の経過—
    佐々木 哲雄, 相原 道子, 高橋 泰英, 金 秀沢, 家本 亥二郎, 馬場 直子, 中嶋 弘
    1993 年 55 巻 3 号 p. 435-439
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    44歳時から約10年間に11回以上再発を繰り返しているSweet病の1例を報告した。初診時は弛張熱, 関節痛, 発疹がみられたが, Sweet病, 成人Still病の典型疹とは異なった。アスピリン投与で軽快したが半年後に同症状の再発がみられ, 組織学的にSweet病に一致する所見を得た。その後ブドウ膜炎が出現し, 末梢血好中球増加がより著明になり, 再発を繰り返したがその都度アスピリンで軽快していた。5年半後の再発時には皮疹の臨床像もSweet病の典型像に近いものとなり, ステロイド内服を行い, ヨードカリも追加併用したがステロイド減量で再発がみられたため, シクロスポリンを開始した。同剤も減量中止により再発をみた。その後の再発時には抗生剤, アスピリン, その他の非ステロイド系消炎剤で軽快している。これまでアフタや陰部潰瘍はなく, Behçet病, 膠原病や悪性腫瘍の合併を示唆する所見はみられていない。本症の本態の解明による根治療法の出現が期待される。
  • 宮城 嗣名, 奥平 圭嗣, 平良 綾子, 宮城 紀士, 宮里 肇, 野中 薫雄
    1993 年 55 巻 3 号 p. 440-444
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    限局性多発性神経線維腫の3例を報告した。症例1は, 63歳の女子。右肩から右上胸部にかけて拇指頭大までの弾性軟の腫瘤が20数個認められた。症例2は, 70歳の女子。右上腕から前腕の屈側に拇指頭大までの弾性軟の腫瘤を9個認めた。症例3は, 69歳の男子。左腰背部に帯状にクルミ大までの弾性軟の腫瘤を20数個認めた。組織学的にこれらの腫瘤は, 神経線維腫であった。3例とも自覚症状はなく, レックリングハウゼン病の症候は認められず限局性多発性神経線維腫と診断した。本邦で現在40例の報告がみられ, 自験例は第41∼43例目の報告に相当する。
  • 黒須 まゆみ, 清島 真理子, 森 俊二
    1993 年 55 巻 3 号 p. 445-449
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    72歳の男子の左側腹部に生じた付属器腫瘍の一例を報告した。5∼6年前に側腹部に黒色の丘疹があるのを気づいたが放置していたところ, 徐々に増大した。初診時には小指頭大で有茎性の腫瘤で黒色∼黒褐色を呈し, 表面に血痂を伴っていた。組織学的に表皮から真皮中層にわたり, いくつかの小葉からなる大きな腫瘍巣がみられた。また, 腫瘍巣の部が表皮と連続している部位が観察された。小葉内には, 小型のcuboidalな細胞からなる細胞巣, 明るい細胞質をもった細胞膜の明瞭な大型の細胞から構成されている細胞巣, および, 管腔形成のみられる部位が存在した。また断頭分泌様の部位もみられ, さらに大小不同, 核分裂像を示す部位も一部に認められた。これらの所見から, 本腫瘍の起源として表皮内汗管, 真皮内汗管および汗腺に分化するエクリン汗器官原基が考えられた。つまり, 多方面への分化を示したエクリン系の腫瘍であり, poroid hidradenomaに一致するが, 一部に悪性像を認める腫瘍と診断した。
  • 鎌田 英明, 田中 和子
    1993 年 55 巻 3 号 p. 450-453
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    24歳, 女子の前額部にとくに前駆病変無く生じた腫瘍性病変を組織学的に検討した結果, 多数のsquamous eddyの存在, さらにはintracytoplasmic focal dyskeratosisを認めるclear cellの存在などよりinverted folicullar keratosisおよびproliferating trichilemmal tumorの併存が考えられ, さらにその下層には充実性のbasaloid cellからなる腫瘍塊, すなわちbasal cell epitheliomaの合併がみられた。毛包腫瘍の発生学的な見地から見て前二者の併存はまれなものではないと思われるが, basal cell epitheliomaと毛包腫瘍の合併例はきわめてまれなものと言え, basal cell epitheliomaの発生母地が多岐にわたることを示唆する一症例と考えられた。
  • 下村 洋, 城野 昌義, 大石 空, 小野 友道
    1993 年 55 巻 3 号 p. 454-458
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    系統的リンパ節腫大と腹部大動脈周囲のリンパ節腫大に随伴したリンパ液うっ滞による左下肢の腫脹を臨床症状とし, リンパ節の病理組織学的所見·免疫組織学的所見·免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成の存在より, 中細胞型の濾胞性B細胞リンパ腫と診断された44歳の女性症例を報告した。治療としてCOPP療法を行い, 2クールで症状は消失した。副作用として生じた末血白血球数低下に対しては, G-CSFの投与で感染症を発症することなく経過し, 軽度の貧血以外問題ない状態で現在通院中である。濾胞性B細胞リンパ腫の治療法の現状とリンパ液うっ滞による四肢の腫脹についての考察をした。
  • 吉岡 敏子, 多田 讓治, 荒田 次郎
    1993 年 55 巻 3 号 p. 459-463
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    ステロイド外用剤による接触皮膚炎は少なく, アルメタ軟膏®による接触皮膚炎の報告はきわめてまれである。われわれは, パッチテストで陽性を示すアルメタ軟膏®による顔面の接触皮膚炎を4例経験した。4例の共通点は, 以下のようであった。(1)皮疹が顔面で最も高度であった。(2)顔面にアルメタ軟膏®を外用し始めて, 約3ヵ月, 使用量では5∼30gで接触皮膚炎を疑われ外用を中止した。(3)いずれもIgEが高値であり, うち3例はアトピー性皮膚炎患者であった。アトピー性皮膚炎など慢性的に皮疹を有する患者において, とくに湿潤傾向を示すなど高度な皮疹が存在する場合には, その外用剤の選択に十分注意する必要がある。
  • 早川 信一, 窪田 泰夫, 佐藤 光浩, 溝口 昌子
    1993 年 55 巻 3 号 p. 464-467
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    15歳女子の右足底の尋常性疣贅と表皮嚢腫の合併例について報告した。酵素抗体法で被覆表皮および嚢腫壁の両者に, 好酸性封入体および空胞様構造を有する細胞の核に一致してhuman papillomavirus(以後HPVと略す)抗原が陽性に認められた。1986年以降足底疣贅を合併した足底表皮嚢腫にHPV抗原を認めた報告例をまとめ, 若干の統計的考察を加えた。自験例では, 尋常性疣贅の直下に表皮嚢腫を認めたことから, 長期の疣贅部への荷重が一因となって表皮嚢腫を形成したと考えた。
研究
  • 滝脇 弘嗣, 白井 志郎, 宇都宮 正裕, 渡部 泰守, 神野 義行
    1993 年 55 巻 3 号 p. 468-475
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    CCDカメラ内蔵のビデオマイクロスコープを用いて取り込んだ正常·病変部皮膚デジタル画像のRGB情報を用いて皮膚色の定量的解析を試みた。測定部位画像内のRGB輝度それぞれの平均値を用いて, 各バンドにおける皮膚の吸光度類似値を計算し, これを元に紅斑指数·メラニン指数を定めた。in vitroでの計測では, 前者はヘモグロビン溶液濃度, 後者はメラニン溶液濃度と実用範囲で線形に相関し, しかも両指数間の相互の影響は少なかった。紫外線紅斑·色素沈着を用いたin vivoの計測でも分光光度計測機器による紅斑指数, メラニン指数と強く線形に相関した。したがって, この方法は十分皮膚色の定量に応用できる。しかも測定したい部位を画面上から選べるため, 小さな皮疹の色測定ができ, 皮疹の色を構成画素の色にまで分解できるため色ムラについての情報も得られる, など通常の反射分光光度計や色沢計にない利点がある。
  • 森田 栄伸, 高路 修, 原田 佳代, 岩崎 泰政, 山本 昇壯
    1993 年 55 巻 3 号 p. 476-480
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    成人型アトピー性皮膚炎患者において好酸球顆粒蛋白のひとつであるeosinophil cationicprotein(ECP)の血清中濃度を測定し, これが臨床的パラメーターとしていかなる意味を持つかを検討した。アトピー性皮膚炎患者19名, 健常人9名について血清ECP値を測定し, その値と臨床症状, 末梢血中好酸球数, 血清IgE値, 血清可溶性CD23(sCD23)値との相関を検討した。血清ECPはアトピー性皮膚炎患者で皮疹の重症度にともない高値を示した。血清ECP値と末梢血中好酸球数および血清ECP値と血清IgE値の間には有意な相関が見られた。血清sCD23値は皮疹の重症度や血清ECP値と関連しなかった。血清ECP値は成人型アトピー性皮膚炎患者において好酸球活性化の指標になるとともに皮疹の重症度の指標にもなりうると考えられた。
講座
治療
  • —薬剤の臨床効果を評価する有用な指標として—
    堀越 貴志, 花田 二郎
    1993 年 55 巻 3 号 p. 489-496
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の皮疹の状態をより客観的に記録する手法として皮疹の種類と, その範囲を記録することにより算定するAtopic dermatitis score(AD score)を用いた。すなわち, 皮膚病変を, 熱傷の重症度の算定法に習い, 重症度により, 軽症病変として, dry skin—紅斑(score: 1), 中等度病変として丘疹—掻破痕(score: 2), 重症病変として苔癬化局面(score: 3)と三段階に分けた。病巣の範囲はLund-Browderの法則にしたがい各病変の占める面積を算定した。以上のアトピー性皮膚炎の皮膚症状の程度と病巣範囲を指数化したADスコアーを下記の計算式にしたがい算出した。
    AD score=Ia×1+IIa×2+IIIa×3 Ia: 軽症病変: (dry skin—紅斑)の面積 IIa: 中等度病変: (丘疹—掻破痕)の面積 IIIa: 重症病変: (苔癬化局面)の面積
    今回われわれは, AD scoreを用いてアトピー性皮膚炎に対するketotifenの有用性の評価を経時的に試みた。さらに, AD scoreと従来用いられてきた主観的手法とで, それぞれketotifenのアトピー性皮膚炎に対する有用性の評価を比較し, 両手法の評価法としての相関を検討した。その結果, 薬剤の有用性を評価する際, AD scoreは, 評価担当医が複数の場合でも, 皮疹の改善度を簡便に, ある程度客観的に評価できる有用な指標となりうることが示された。
  • 片山 一朗, 佐藤 貴浩
    1993 年 55 巻 3 号 p. 497-501
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    ホスホジエステラーゼ(PDE)活性の阻害薬である, シロスタゾール(プレタール®)の成人型アトピー性皮膚炎に対する臨床効果を検討した。投与2週後の全般改善度は「かなり改善」以上が52.4%, 4週後は57.2%, 8週後は50.0%を示した。有用度においては「極めて有用」が14.3%, 「有用」が47.6%であり, 「有用」以上の合計は61.9%であった。今回の試験で認めた副作用は主に頭痛であり, 重篤なものは無かった。以上の結果より, シロスタゾール(プレタール®)は成人型のアトピー性皮膚炎の治療に対して有用性があると思われる。
  • 西山 成寿, 沼田 恒実
    1993 年 55 巻 3 号 p. 502-506
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    広島大学医学部附属病院皮膚科アレルギー外来にて加療中のアトピー性皮膚炎患者23例を対象に, コラージュ液体石鹸Dの使用が臨床症状におよぼす影響と補助的治療効果について検討した。各患者の従来の治療法に加え, 低刺激性の液体石鹸を規則正しく使用させたところ, 23例全例に補助的効果が認められた。副作用は23例中2例(8.7%)にみられた。1例は皮膚の乾燥の増強で, 1例は顔面の刺激症状であった。いずれも一過性の症状で, 従来の治療により軽快した為, 液体石鹸の使用を継続しても問題はなかった。アトピー性皮膚炎患者に対する石鹸の使用に関しては好ましくないという意見もみられるが, 本液体石鹸の使用は多くの症例においてアトピー性皮膚炎を悪化させることなくその治療において補助的な効果を有する可能性があると考えられた。
  • 木村 俊次, 宮川 俊一, 小林 都江, 佐藤 則子, 小松 威彦
    1993 年 55 巻 3 号 p. 507-514
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    そう痒を伴う皮膚疾患(アトピー性皮膚炎, 湿疹, 蕁麻疹)を有する15歳以下の患児63例を対象にメキタジンシロップの有用性の検討を行った。メキタジンとして0.12mg/kg/日を朝食後, 就寝前の1日2回分割経口投与した。投与期間は湿疹, アトピー性皮膚炎では4週間, 蕁麻疹では2週間とした。解析対象例は62例であり, 最終全般改善度は87.1%と高い改善率(中等度改善以上)を示した。とくにアトピー性皮膚炎において観察日ごとの改善率が1週後で61.1%, 2週後で71.4%, 4週後で84.1%と漸増する結果であった。副作用, 臨床検査値について問題となるものはなく, 服薬性についても良好であった。また, 継続投与が必要でかつ可能となった11例について最長14週間まで長期使用した結果, 良好な経過並びに安全性を確認した。以上のことより, メキタジンシロップは小児の掻痒を伴うアレルギー性疾患の治療薬として有用な薬剤であると考えられた。
  • —四国32施設共同臨床研究の成績—
    四国地区アゼプチン臨床研究班
    1993 年 55 巻 3 号 p. 515-526
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    四国の32施設でそう痒性皮膚疾患937例(蕁麻疹212例, 湿疹·皮膚炎458例, 皮膚そう痒症220例, 痒疹45例, その他10例)を対象に塩酸アゼラスチンの有効性, 有用性を検討した。同時にかゆみ日記を記載してもらいそう痒の改善度を患者側からも検討した。疾患別の全般改善度では蕁麻疹は改善以上(やや改善以上)が76.2%(87.4%), 湿疹·皮膚炎は72.2%(91.9%), 皮膚そう痒症は69.3%(88.4%), 痒疹は63.6%(79.5%)であった。重症度別改善度では, 蕁麻疹, 湿疹·皮膚炎, 痒疹は重症から軽症になるにしたがい改善率は高くなったが, 皮膚そう痒症は重症度に関係なく高い改善率を示した。副作用は41例(4.4%)にみられ, 眠気28例, 消化器症状4例, 頭痛·耳鳴り4例などであった。臨床検査値異常は4例(0.4%)にみられ, 軽度の肝機能異常であった。有用度は蕁麻疹では, 有用以上(やや有用以上)76.5%(87.0%)であり, 湿疹·皮膚炎, 皮膚そう痒症, 痒疹ではそれぞれ68.4%(87.9%), 70.5%(86.2%), 63.7%(79.6%)であった。全疾患を合計しての有用度では有用以上70.2%, やや有用以上86.9%であった。かゆみ日記は306例(32.7%)に記載があり, 蕁麻疹, 湿疹·皮膚炎, 皮膚そう痒症ではかゆみのスコアーは2日目より有意に低下した。以上より, 本剤は各種そう痒性皮膚疾患に対して有用性の高い治療薬であると思われた。
  • 漆畑 修, 浅島 裕雄, 斉藤 隆三
    1993 年 55 巻 3 号 p. 527-532
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    新しく開発されたニューキノロンカルボン酸系の合成抗菌剤であるtemafloxacin顆粒剤を皮膚科領域細菌感染症患者27例に使用し, その有用性と細菌学的効果について検討した。投与量は1日300∼600mg, 投与期間は4日∼10日で, 総投与量は1.5g∼6.0gであった。疾患群別の有効率は第I群83.3%, 第II群100%, 第III群50%, 第IV群100%, 第V群88.9%, 第VI群100%, 全体で88.9%であった。副作用は1例で嘔気と下痢が見られ, 臨床検査値異常変動は1例においてGPTとγGTPの上昇が観察されたがいずれも一過性のものであった。有用性の検討では, 疾患群別の有用率は第I群83.3%, 第II群100%, 第III群50%, 第IV群100%, 第V群88.9%, 第VI群100%, 全体で88.9%であった。細菌学的検討では20例から菌が分離され, 除菌率は87.5%であった。また分離されたS. aureus, CNS, P. acnesに対するMICを測定した結果, temafloxacin(TMFX)はいずれも他のキノロン系薬剤であるNFLX, OFLX, CPFX, ENXと同等もしくはそれ以上の優れた抗菌力を示した。以上の結果より, TMFX顆粒剤は皮膚科領域感染症に対し有用な薬剤であると思われた。
  • 中山 樹一郎, 堀 嘉昭, 篠崎 博嗣, 吉原 政弘
    1993 年 55 巻 3 号 p. 533-541
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    白糖·ポビドンヨード配合軟膏(ユーパスタコーワ)を, MRSA感染を合併した10例の褥瘡患者に8週間投与してポビドンヨードのMRSAに対する殺菌作用を含めた臨床的有用性について検討した。褥瘡部におけるMRSAの感染の推移で10例のうち9例に陰性化が見られた。症状別改善度は, ほとんどの項目で70%以上の改善率であった。副作用はまったく認められなかったので, 有用性の判定では, 有用以上が80%の成績であった。したがってユーパスタコーワは長期入院臥床中の高齢者の褥瘡治療においてMRSA感染を念頭において使用薬剤を考える上で推選すべき薬剤の一つであると考えた。
  • 中山 英俊, 中村 佐和子, 島雄 周平, 石原 政彦, 木村 秀一郎
    1993 年 55 巻 3 号 p. 542-544
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹患者27名(外来11名, 入院16名)に対しアシクロビルを投与し, 帯状疱疹後神経痛に対する治療効果について検討した。外来患者にはアシクロビル500mgの1日1回点滴静注を, 入院患者には250mg/回, 1日3回の点滴静注を行った。発症後6ヵ月後に疼痛が残存している症例は外来18.2%(2/11名), 入院31.3%(5/16名)であり, 総合すると25.9%(7/27名)であり, すべて60歳以上の症例であった。疼痛の程度としては弱い痛みが続くもの1名, 弱い痛みが時々あるもの6名と軽度であった。今回の結果からはアシクロビルは帯状疱疹後神経痛の発症率を下げることは困難であるが, 疼痛の軽症化という点からは有効な薬剤であると考えられた。
  • 松田 哲男
    1993 年 55 巻 3 号 p. 545-552
    発行日: 1993/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    ベンジルアミン構造を有する抗真菌剤, 塩酸ブテナフィン1%クリーム剤および1%液剤を使用し, 1日1回塗布による皮膚真菌症に対する有効性と安全性を検討する目的で, 九州大学医学部皮膚科とその関連施設による研究班を組織し, 共同臨床試験を実施した。投与総症例は172例で, その内訳はクリーム剤が132例, 液剤が40例であった。皮膚所見および菌検査の推移を, 総合的に考慮し判定した最終総合効果における有効率(有効以上)は, クリーム剤では, 足白癬66.6%, 体部白癬84.6%, 股部白癬78.9%, 癜風78.6%であった。液剤では, 足白癬60.0%, 体部白癬83.3%, 股部白癬100%, 癜風75.0%であった。副作用は155例中7例(4.5%)に発現した。以上の成績から, 塩酸ブテナフィンは1日1回投与により, 有効性と安全性において優れた成績が得られ, 皮膚真菌症に対して有用な薬剤であると考える。
世界の皮膚科学者
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