西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
皮膚真菌症に対する塩酸ブテナフィンの臨床試験成績
松田 哲男
著者情報
ジャーナル 認証あり

1993 年 55 巻 3 号 p. 545-552

詳細
抄録

ベンジルアミン構造を有する抗真菌剤, 塩酸ブテナフィン1%クリーム剤および1%液剤を使用し, 1日1回塗布による皮膚真菌症に対する有効性と安全性を検討する目的で, 九州大学医学部皮膚科とその関連施設による研究班を組織し, 共同臨床試験を実施した。投与総症例は172例で, その内訳はクリーム剤が132例, 液剤が40例であった。皮膚所見および菌検査の推移を, 総合的に考慮し判定した最終総合効果における有効率(有効以上)は, クリーム剤では, 足白癬66.6%, 体部白癬84.6%, 股部白癬78.9%, 癜風78.6%であった。液剤では, 足白癬60.0%, 体部白癬83.3%, 股部白癬100%, 癜風75.0%であった。副作用は155例中7例(4.5%)に発現した。以上の成績から, 塩酸ブテナフィンは1日1回投与により, 有効性と安全性において優れた成績が得られ, 皮膚真菌症に対して有用な薬剤であると考える。

著者関連情報
© 1993 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top