1993 年 55 巻 4 号 p. 686-690
症例は61歳男子。昭和62年頃, 両下眼瞼に自覚症状のない粟粒大紅色小丘疹が出現し, その後ほぼ全身に皮疹が拡大した。平成2年11月頃, 皮疹に強いそう痒を訴えるようになり, また両指関節痛も出現してきたため当科を紹介された。初診時, ほぼ全身に粟粒大から半米粒大の赤褐色調の小丘疹がみられ, また病理組織学的にすりガラス状の胞体を有する大小不同の多核巨細胞, および組織球性細胞の増殖が認められたことから, multicentric reticulohistiocytosisと診断した。本症例の一部の皮疹にアルミチェンバーを用いたステロイドODT療法を試み, 局所の皮疹の寛解をみた。