2% Liranaftateクリーム(以下LNT)の1日1回塗布による足白癬, 体部白癬ならびに股部白癬に対する有効性, 安全性ならびに有用性を検討するため, 全国41施設からなる研究班を組織し, 1%bifonazoleクリーム(以下BFZ)を対照薬としたwell-controlled comparative studyを実施した。試験実施総症例数は712例(LNT群355例, BFZ群357例), 安全性評価対象総症例数は647例(LNT群319例, BFZ群328例), 有用性評価対象総症例数は565例(LNT群280例, BFZ群285例)であった。1日1回の塗布において, 真菌学的効果の菌陰性化率は足白癬でLNT群82.4%, BFZ群82.0%, 体部白癬でLNT群86.7%, BFZ群81.6%ならびに股部白癬でLNT群89.8%, BFZ群97.0%で有意差は認められなかった。皮膚症状の改善度は足白癬でLNT群がBFZ群より有意に優れていた(p<0.05: U検定)。また, 皮膚症状の改善率は, 足白癬でLNT群90.8%, BFZ群84.9%, 体部白癬でLNT群96.0%, BFZ群97.4%, 股部白癬でLNT群93.2%, BFZ群98.5%と両薬剤間に有意差は認められなかった。総合効果の有効率は足白癬でLNT群81.0%, BFZ群80.6%, 体部白癬でLNT群85.3%, BFZ群81.6%ならびに股部白癬でLNT群89.8%, BFZ群97.0%と有意差は認められなかった。副作用については, LNT群で5例(1.6%), BFZ群で4例(1.2%)にみられたが, 有意差は認められなかった。また, 臨床検査値においては, 両剤に起因すると思われる異常値は認められなかった。有用率は, 足白癬でLNT群83.4%, BFZ群80.1%, 体部白癬でLNT群88.0%, BFZ群82.9%ならびに股部白癬でLNT群90.0%, BFZ群95.6%で有意差は認められなかった。以上の成績より, LNTは1日1回塗布において皮膚真菌症の白癬に対し, BFZと同様に優れた効果を示し, とくに足白癬の皮膚症状の改善度においてはBFZ以上に優れた治療薬であると評価された。
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