西日本皮膚科
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統計
最近14年間の岐阜大学皮膚科におけるケルスス禿瘡
井上 稲子清島 真理子前田 学森 俊二藤広 満智子鹿野 由紀子
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1994 年 56 巻 2 号 p. 300-304

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抄録

1979年1月から1993年4月までの約14年間に岐阜大学皮膚科を受診したケルスス禿瘡について統計的観察を行った。1)症例数は22例, 年平均1.5例であり, 明らかな増加傾向はみられなかった。2)男女比は13:9で男性が女性の約1.5倍みられた。15歳以下の小児が19例と全体の86%を占め, とくに10歳以下の症例が18例あった。成人発症例は全例女性で60歳以上の患者であった。3)原因菌種はTrichophyton rubrum 10例, Microsporum canis 9例, M. gypseum 1例, T. violaceum 1例, 不明1例であり, T. rubrum, M. canisが多かった。4)発症時期は冬期が11例と最も多く, 罹患部位は頭頂部を含む症例が17例と全体の約3/4を占めた。5)感染源としてイヌ1例, ネコ5例が疑われた。6)半数の11例にステロイド剤の外用の既往を認めた。7)家族内発症は7例(31.8%)にみられ, 兄弟間発症が5例, 親子間, 夫婦間発症が1例づつであった。8)治療は抗真菌剤(グリセオフルビン)の内服を行い, 二次感染に対しては抗生剤の内服を併用した。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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