西日本皮膚科
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治療
爪白癬に対する経口投与テルビナフィンの臨床的, 薬物動態学的検討
松本 忠彦田沼 弘之金子 聡高須 博西山 茂夫
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1994 年 56 巻 2 号 p. 374-381

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抄録

爪白癬に対する経口抗真菌剤テルビナフィン125mg錠の1日1回1錠投与での有効性, 安全性とともに薬剤の蓄積性ならびに爪甲, 毛髪への移行性を検討するため臨床試験を実施した。総症例数は34例であった。このうち1例は安全性評価のみ採用とした。したがって有効性, 有用性評価は33例, 安全性評価は34例を解析対象とした。総合効果での有効率は90.9%(30/33)で, 優れた有効性が認められた。臨床検査値異常変動を含め副作用は認められなかった。薬物動態では, テルビナフィンは爪甲において投与2週後より検出され, 投与12週後には0.78ng/mgに達しその後ほぼ同じ値で推移した。また毛髪には投与23∼32週で平均3.14ng/mgの本剤が検出された。これらの結果より, 本剤が爪甲および毛髪へ良好に移行することが確認された。本剤の血漿中濃度は, ほぼ10週で定常状態に達し蓄積傾向は認められなかった。以上の成績より, 本剤は爪白癬に対して優れた有効性と安全性を示し, 薬物動態学的検討も, この優れた治療成績を裏づけるものであることが結論づけられた。今回の試験結果より本剤は爪白癬に有用な薬剤であると考えられる。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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