西日本皮膚科
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講座
活性酸素病態学(III)
—皮膚科領域における抗酸化剤の臨床応用—
宮地 良樹
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1994 年 56 巻 3 号 p. 508-513

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抄録
皮膚は肺や眼などと共に絶えず酸素に接している臓器であることに加え, 生体の最表層にあるため, 直接, 紫外線·放射線·熱などの物理的要因あるいは皮脂·外用剤·化学物質などの化学的要因により, 活性酸素や過酸化脂質をまき込んだ生物学的反応の惹起されやすい臓器のひとつであることはすでに述べた。また, 皮膚は他臓器と同様に, 白血球炎症や虚血—再灌流などによっても酸素ストレスの標的となる。このように, 酸素ストレスのターゲットとなってきたがゆえに, 皮膚はかなりの酸素耐性を獲得しているが, 内外からの過度の酸素ストレスが皮膚に各種の病態をもたらしていることも事実である。これに対し, 皮膚科領域においては, 経験的に薬剤による抗酸化的治療が行われてきており, 現在の知識からみると, きわめて合理的で示唆に富むものも多い。連載講座最終回は, 経験的に臨床応用されてきた抗酸化物質を中心に, 各種皮膚疾患と関連づけて述べ, さらに, SODなど開発途上にある薬剤についても言及する。
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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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