西日本皮膚科
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56 巻 , 3 号
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図説
綜説
  • 伊東 恭悟
    1994 年 56 巻 3 号 p. 423-429
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
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    ヒトメラノーマは薬剤や放射線抵抗性である一方で免疫療法に感受性があるため多くの免疫療法が実施されてきた。また腫瘍抗原性も高いため腫瘍免疫学領域では膨大な数の研究が報告されており, 腫瘍特異免疫の成立している数少ない腫瘍のひとつである。しかし腫瘍免疫は長い間その機能面からの解析(抗原特異性やMHC拘束性など)が優先し, その分子機構からの解析は遅々として進まなかった。そのため, 免疫現象は特異的であるものの分子レベルで研究することが困難な領域と考えられてきた。しかし最近の分子生物学の進歩に伴って腫瘍免疫の分子機構が明らかになってきた。即ち, 抗原認識に関与する3つの分子(T細胞抗原レセプターT cell receptor‹TCR›, 主要組織適合抗原major histocompatibility antigen complex‹MHC›, および抗原ペプチドantigenic peptide)の相互作用が分子レベルで詳細に解明されつつある。その解析にはほとんど抗原性の高いヒトメラノーマが用いられている。それらの成果はすでにその一部が臨床試験にはいっている。本綜説ではここ数年のメラノーマ特異免疫の分子機構に関する進歩に焦点をあてて解説し, 臨床応用の可能性についてさぐる。
症例
  • 庄嶋 薫, 松島 勇治, 河島 智子, 星野 稔, 大塚 藤男, 田中 克也
    1994 年 56 巻 3 号 p. 430-433
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    橋本病を合併した強皮症の1例を報告した。症例はBarnett 1型強皮症の59歳の女性で, 血清学的に抗サイログロブリン抗体と抗マイクロゾーム抗体を検出し諸検査を施行したところ, 橋本病の合併が明らかとなった。従来まれとされてきた強皮症と橋本病の合併は, 必ずしもまれではないともいわれるので, 強皮症患者の経過中に甲状腺機能を検索することは有意義であると考えられた。
  • 籏持 淳, 植木 宏明, 森本 接夫
    1994 年 56 巻 3 号 p. 434-436
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    トマト蕁麻疹の1例を報告する。症例は31歳の女性で約6ヵ月前より蕁麻疹が時々出現するようになった。食餌について検討したところトマトを摂取した直後に蕁麻疹が出現することに気付き, トマトの摂取を止めることにより蕁麻疹の出現はほとんどなくなった。一方トマト摂取により蕁麻疹の誘発も認められた。トマトのRAST scoreは2と陽性を示し, またトマトの皮内テストは陽性であった。
  • 浜中 すみ子, 氏原 真弓, 村川 敏介, 河田 竜一, 木戸 利成, 廣瀬 直文
    1994 年 56 巻 3 号 p. 437-440
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    63歳の男性。左側頬部から前頸部にかけて疼痛を伴う皮疹, 2日後より左眼が閉眼困難となり, 左口角が下垂した。内耳神経症状は軽度であったが, 顔面神経は完全麻痺をきたした。第2頸神経領域の帯状疱疹にRamsay-Hunt症状を呈した症例と考えられた。
  • 渡辺 元, 山本 卓, 伊崎 誠一, 北村 啓次郎
    1994 年 56 巻 3 号 p. 441-444
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    88歳の男性および25歳の女性のそれぞれ蛋白尿あるいは血尿を伴うアナフィラクトイド紫斑(AP)2例を安静および抗生剤内服で治療したところ, 紫斑は消退した。しかし蛋白尿あるいは血尿は逆に増悪したためDDS 75mg/dayを用いて治療したところ蛋白尿, 血尿は数週間で改善を認めた。DDSがAPに対し有効であることは成書に記載されているが, 自験2症例においてDDSは紫斑のみならず腎症状にも効果を認めた。従って本剤は今後蛋白尿, 血尿などの合併症を伴うAPにも試用し, その効果を観察するに値する治療薬と思われた。
  • 池田 政身, 池田 光徳, 小玉 肇, 岩原 義人, 田口 博國, 三好 勇夫
    1994 年 56 巻 3 号 p. 445-449
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    40歳の男性。全身諸処に有痛性の丘疹および周辺堤防状に隆起する暗紅色結節が散在, 一部では虫喰い状の潰瘍となり排膿を認めた。生検組織像では, 表皮はpseudoepitheliomatous hyperplasiaを示し, 真皮では膿瘍形成を伴う多数の好中球浸潤を主体とする肉芽腫形成を認めた。細菌培養では無菌性のことが多かったが, 時に二次感染としてS. epidermidis, S. aureus, E. faecalisが検出された。抗酸菌培養および真菌培養は陰性, 白血球減少, 単球増加, 好中球機能低下を認め, 骨髄像より慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)と判明。CMMoLによる好中球機能低下を基盤とした壊疽性膿皮症と診断した。ミノサイクリンは皮疹に対してある程度有効であったが, 他の抗菌剤は無効。プレドニゾロンは用量依存性に奏効し, 皮疹は瘢痕治癒するものもあり, 自潰して潰瘍となることは抑制できた。しかし糖尿病の合併により, 充分量投与できなかったため, 新しい結節の出現を完全には抑制できなかった。G-CSFを投与するも, 汎血球減少症および皮疹は改善されず, 肺炎を併発して死亡した。
  • 西山 成寿, 矢野 貴彦, 山本 昇壯, 大口 泰助, 相模 浩二, 田中 誠史, 米原 修治
    1994 年 56 巻 3 号 p. 450-457
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    23歳の男性の皮膚およびその他の諸臓器に多様な腫瘤形成がみられた1症例を報告した。7歳頃から顔面に, さらに15歳頃から躯幹および四肢にも小豆大から小指頭大の角化性丘疹および結節が多発しており, 切除するも再発を繰り返していた。当科受診後に順次いくつかの皮疹を切除した。皮疹は, 病理組織学的には, 真皮の線維芽細胞の高度な増生や膠原線維の不規則な増生あるいはムチン様物質を含んだ粘液変性を主体とする過誤腫であったが, 部位によってもあるいは同一標本内でもこれら各組織像の比率は多様であった。全身検索で内耳に腫瘤(病理組織検査未実施), 甲状腺腫, 咽頭ポリープ, 大腸憩室, 肝血管腫, 睾丸の大細胞性石灰化sertori細胞腫などを認めた。すでに死亡している母親と, 兄にも全身に多発性の腫瘤がみられ, その病理組織像は過誤腫であったため, 自験例は遺伝性, 家族性に過誤腫が発症するmultiple hamartoma syndrome(Cowden病)に類する疾患と考えられた。
  • 坪内 由里, 梅林 芳弘, 大塚 藤男, 大久保 千眞季, 村木 良一
    1994 年 56 巻 3 号 p. 458-466
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    11歳の男児と6歳の女児のRud症候群の2例を報告した。第1例の男児には先天性魚鱗癬に脳波異常, 精神遅滞, 間脳下垂体系不全を認めた。皮膚症状は, 小葉状白色の鱗屑を伴う, 全身の著しい潮紅が主体であり, 眼瞼外反や指関節拘縮もみられた。病理組織学的には, 角質増生と不全角化, 表皮肥厚を認め, 臨床所見からも非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症と考えられた。第2例の女児は先天性魚鱗癬, 脳波異常, 著しい精神遅滞を認めるものの, 内分泌学的異常を示さなかった。皮膚症状は厚く褐色で大葉状の鱗屑が付着し, 潮紅を認めるが, その潮紅の程度は前者に比べて軽度であった。主な病理組織学的所見は, 角質増生と表皮肥厚であるが, 第1例と異なり不全角化を認めず, 臨床所見からも葉状魚鱗癬と診断した。また, 遺伝学的検索により母親と母方の父である祖父との間に生まれた可能性が高いことが判明した。
  • 桐原 義信, 野見山 和彦, 中山 管一郎
    1994 年 56 巻 3 号 p. 467-470
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    患者は21歳の女性。左足底の単発性の皮下結節を主訴として来院した。隆起した皮膚表面から淡青色の色調を透見した。病理組織学的には, 海綿状血管腫やKaposi肉腫様の構造を呈しておりspindle cell hemangioendotheliomaの所見であった。
  • —肥満細胞母斑の幼児例と胃潰瘍を伴った成人例—
    加藤 直子, 上野 洋男, 吉沢 豊文
    1994 年 56 巻 3 号 p. 471-474
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    皮膚肥満細胞症(色素性蕁麻疹)のAdlerの分類による小児のUnna型と成人のRöna型の2例を報告した。症例1は1歳の男児で, 出生時から左肩背側に扁平隆起性の孤立性の淡褐色斑を有し, 経過中に水疱を生じた。症例2は33歳の男性で, 24歳時から躯幹を中心に, 無症候性の茶褐色斑を多数生じた。症例1の肥満細胞は微細構造的に細胞膜に比較的豊富な絨毛様突起を有し, また細胞質内には微細線維と円形または卵円形で均質無構造あるいは網状の内部構造を有する顆粒を示した。症例2は胃潰瘍を有していたが, 胃潰瘍底の生検では肉芽組織内に少数の肥満細胞の浸潤が認められたものの, 尿中のヒスタミン量の増加は認められず, 現在のところ全身性肥満細胞症ではなく, 色素性蕁麻疹と胃潰瘍の併発と考え経過を観察中である。
  •  
    工藤 芳子, 藤原 作平, 高安 進, 福島 直喜, 谷村 理恵, 石和 俊, 芦沢 昭
    1994 年 56 巻 3 号 p. 475-479
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    8ヵ月の女児(体重8.9kg)。生後1ヵ月ごろより右頬部に海綿状血管腫があった。同部が急速に腫脹し, また血小板数10000/mm3を指摘され, 緊急入院となった。入院時, 右頬部全体が腫脹し境界明瞭な暗赤褐色斑に加え, 点状出血と皮下硬結を認めた。MRではT1強調で皮下に帯状に低信号域を, T2強調で高信号域をみた。以上よりKasabach-Merritt症候群の中期∼極期と診断した。入院翌日には血小板数が7000/mm3まで低下したため, ベタメサゾン3mg/day(0.34mg/kg/day)内服を開始したところ, その直後より腫脹は著明に改善し, 6日後(ベタメサゾン総投与量15mg)には血小板数は正常化した。その後血小板数と皮疹を指標として, ベタメサゾンを漸次減量し, 約7ヵ月後(ベタメサゾン総投与量91.2mg)に中止したが, 以後再発はみられていない。軽度の高血圧以外には副作用は認められなかった。Kasabach-Merritt症候群における副腎皮質ステロイド全身投与の有用性について報告した。
  • 浦 博伸, 古屋 勉, 下妻 道郎
    1994 年 56 巻 3 号 p. 480-485
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    27歳の男子。初診の4ヵ月前に, 左上腕伸側の小さなしこりに気付く。その後急速に増大し, 2ヵ月後には水疱様となってきた。臨床的には, 径20mmの紫紅色のドーム状腫瘤で, 水疱様の外観を呈しており, 内部には黄白色に透見できる可動性ある骨様硬の結節を触れた。皮膚エコー検査を施行したところ, 腫瘍に相当する部分では, エコー輝度の高い部分と低い部分とが入り交じっており, 周辺にエコーレベルの低い縁どりがあって, 後方のエコーは消失していた。組織学的には, 腫瘍塊はいわゆるshadow cellとbasophilic cellからなる典型的な石灰化上皮腫であった。腫瘍直上の表皮基底層では, 周辺の正常部に比べて著しくメラニン顆粒が減少しており, これまでに報告のみられない所見であった。腫瘍塊直上の真皮は浮腫が著しく, 拡張した管腔が多数見られ, 第VIII因子関連抗原に対する抗体とulex europaeus agglutinin-I lectin(UEA-I)とによる染色では管腔壁は陰性であり, これらはリンパ管であることが確認された。また, 自験例を含めて, われわれが調べえた本邦報告例100症例108病変について, 通常の石灰化上皮腫の特徴と比較し, 検討を加えた。
研究
  • 小宅 慎一, 楠原 紀子, 大久保 ゆかり, 徳田 安章
    1994 年 56 巻 3 号 p. 486-493
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    1989年から1991年に東京医科大学皮膚科外来を受診した皮膚細菌感染症患者のうち, 細菌培養を施行した764例について疾患別分離菌頻度と, 黄色ブドウ球菌(黄ブ菌), コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)および連鎖球菌について薬剤感受性を検討した。毛嚢炎, 膿疱性ざ瘡ではCNSが, せつ·癰群, 伝染性膿痂疹·深膿痂疹群, 丹毒·蜂窩織炎群では黄ブ菌が多く検出された。慢性膿皮症ではCNSとグラム陰性桿菌など多彩な菌が検出された。二次感染群では手足を除く湿疹·皮膚炎群で高率に黄ブ菌が分離され, 足白癬·異汗性湿疹·手湿疹群では, 連鎖球菌が黄ブ菌に次いで多くみられた。グラム陰性桿菌は, 足白癬·異汗性湿疹·手湿疹群, 潰瘍·褥瘡群で比較的多くみられた。黄ブ菌はPCGで半数以上, PIPC, EMではそれぞれ約30%, 約20%が感受性無しであった。セフェム系ではすべてで90%以上が薬剤感受性有りであった。CNSではPCG, DMPPC, EM, FOMで20%前後が感受性無しであったがその他の薬剤では感受性は良好であった。連鎖球菌はAMK, OFLX, DMPPCでそれぞれ約95%, 約35%, 約20%が感受性無しであった。DMPPC以外のペニシリン系, セフェム系薬剤では100%が感受性有りであった。
  • 鈴木 淳子, 萬 秀憲, 芋川 玄爾, 高島 巌
    1994 年 56 巻 3 号 p. 494-498
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    天然コレステロールエステルと類似した構造をとるcholesteryl isostearate(以下IS-CE)を応用した浴用剤の水溶性成分溶出抑制作用と, 保湿効果を検討した。健常男性18名の前腕部をアセトン·エーテル(AE)で15分間脱脂処理後, IS-CE配合浴用剤浴(20g/150l, 40℃, 5分)を行った。水溶性成分(ニンヒドリン陽性物質)のさら湯中溶出に対する抑制率は, 浴用剤中のIS-CE量の増加に伴い高まる傾向にあり, IS-CE 4.8%配合浴用剤はさら湯に比べ有意に抑制した(p<0.05, paired t-test)。健常男性15名の前腕部をAEで15分間脱脂処理後, IS-CE 4.0%配合浴用剤またはIS-CEを除いた浴用剤浴(いずれも20g/150l, 40℃, 10分)を2日間行い, 入浴翌日の角層水分量を測定した。IS-CE 4.0%配合浴用剤浴はさら湯浴より角層水分量の回復が有意に高く(p<0.05, paired t-test), また, IS-CEを除いた浴用剤浴よりも高い傾向にあった。下腿に左右ほぼ同程度の乾燥性皮疹を発症した女性6名の一方の下腿にIS-CE 4.0%配合浴用剤浴(20g/150l, 40℃, 20分), 他方にさら湯浴を8日間行った。IS-CE 4.0%配合浴用剤浴はさら湯浴に比べ, 乾燥性皮疹を有意に改善した(p<0.05, Wilcoxon signed rank test)。以上の結果から, IS-CE配合浴用剤浴による角層から浴水中への水溶性成分の溶出抑制作用と保湿効果が確かめられた。
  • 白地 孝光, 松本 亮二, 松本 範人, 安田 尚弘, 村原 孝一郎, 大廻 長茂, 愛下 秀毅
    1994 年 56 巻 3 号 p. 499-507
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    各種実験的創傷モデルを用い, PGE1·CD軟膏の創傷治癒促進作用を検討した。PGE1·CD軟膏はステロイド処置による自然治癒遅延状態下, ラット切創モデルにおける創耐張力を有意に増加させた(50μg/g)。さらに, ミニブタ熱傷モデルにおいても完治日数を有意に短縮させた(30μg/g)。また, PGE1·CD軟膏は10および30μg/gの濃度で, 全身循環に影響をおよぼすことなく, ラット後肢皮膚血流量を有意かつ用量依存的に増加させた。一方, in vitro培養細胞実験において, PGE1·CD(10-9∼10-6M)は正常ヒト皮膚由来表皮角化細胞の増殖を用量依存的に促進し, この作用は細胞内cAMPの増加を介したものであることが示唆された。以上の結果から, PGE1·CD軟膏は実験的創傷モデルにおいて創傷治癒促進作用を示し, その作用機序として, 局所血流改善作用ならびに表皮角化細胞の増殖促進による表皮形成促進作用が関与している可能性が示唆され, 褥瘡をはじめとする種々の皮膚潰瘍に対して本剤の臨床的有用性が期待される。
講座
  • —皮膚科領域における抗酸化剤の臨床応用—
    宮地 良樹
    1994 年 56 巻 3 号 p. 508-513
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    皮膚は肺や眼などと共に絶えず酸素に接している臓器であることに加え, 生体の最表層にあるため, 直接, 紫外線·放射線·熱などの物理的要因あるいは皮脂·外用剤·化学物質などの化学的要因により, 活性酸素や過酸化脂質をまき込んだ生物学的反応の惹起されやすい臓器のひとつであることはすでに述べた。また, 皮膚は他臓器と同様に, 白血球炎症や虚血—再灌流などによっても酸素ストレスの標的となる。このように, 酸素ストレスのターゲットとなってきたがゆえに, 皮膚はかなりの酸素耐性を獲得しているが, 内外からの過度の酸素ストレスが皮膚に各種の病態をもたらしていることも事実である。これに対し, 皮膚科領域においては, 経験的に薬剤による抗酸化的治療が行われてきており, 現在の知識からみると, きわめて合理的で示唆に富むものも多い。連載講座最終回は, 経験的に臨床応用されてきた抗酸化物質を中心に, 各種皮膚疾患と関連づけて述べ, さらに, SODなど開発途上にある薬剤についても言及する。
統計
  • 西 隆久, 元木 清久, 成澤 寛, 幸田 弘
    1994 年 56 巻 3 号 p. 514-517
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    佐賀医科大学附属病院開院以来10年間に受診した熱傷患者は254例で, うち10歳未満が104例(41%)を占めた。このうち入院例は87例(34%)で, うち10歳未満は27例(30%)であった。受傷原因は熱湯によるものが約半数であった。また, 入院患者の平均受傷面積は約30%で, 平均入院日数は55.0日でほぼ80%の症例が2ヵ月以内に退院した。死亡例は11例(13%)で, 平均受傷面積は64.5%, 自殺企図や火炎によるものが大半であった。気道熱傷は17例に認めた。
  • —1951年から1992年までの集計—
    吉見 圭子, 伯川 純一, 本間 喜蔵, 西本 勝太郎
    1994 年 56 巻 3 号 p. 518-524
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    長崎大学医学部皮膚科学教室で1983年1月から1992年12月までの10年間に43例のスポロトリコーシスの検索を行った。その全症例を報告し, あわせて, 1951年から1982年までの症例も含め全118例について統計的観察を行った。男女比は1:1。50∼70歳台に多く0∼9歳の小児例は8%であった。病型は, 限局性皮膚型60%, 皮膚リンパ管型40%であった。部位別には, 顔面28%, 上肢63%, 躯幹1%, 下肢8%であった。顔面では, 限局性皮膚型が多く上肢, 下肢では病型に差はなかった。また, 上肢では右に多かった。小児では顔面に多く, 高齢者では上肢に多かった。また, 発症に季節的差異は見られなかった。1976年に初めての症例をみて以来島原半島の症例が増加している。イトラコナゾールを使用した1症例を除くとヨードカリ内服2∼4ヵ月, 温熱療法, イソジン消毒などで軽快していた。
治療
  • 土井 希文, 浅谷 雅文, 田沼 弘之, 阿部 美知子
    1994 年 56 巻 3 号 p. 525-530
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    75歳の男性の右耳前部に生じたTrichophyton rubrumによる白癬菌性毛瘡にテルビナフィンが奏効した1例を報告した。この患者には, 足·爪白癬も認められたが, これはTrichophyton mentagrophytesによるものであり, 足·爪白癬とは無関係に耳前部に感染が起こったものと考えられた。なお本症例は初診時非定型的な臨床像を呈し, 組織学的にも白癬菌性肉芽腫との鑑別を要したため, その点についても若干の考察を加えた。
  • —本邦における老人のケルスス禿瘡を集計して—
    田沼 弘之, 高須 博, 浅谷 雅文, 橋本 明彦, 阿部 美知子
    1994 年 56 巻 3 号 p. 531-537
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    75歳の男性, 無職。相模原市在住。初診約1ヵ月前に, 後頭部から右側頭部にかけて毛孔一致性の膿疱を伴った鱗屑を付着する紅斑局面が出現し, 次第に易抜毛性をみとめ当科を受診。頭部病巣部の鱗屑および組織片より, Trichophyton rubrumを分離。病理組織学的に, 表皮は不規則に肥厚し, 真皮から皮下脂肪織にかけて稠密な細胞浸潤をみとめた。毛包を中心に好中球, リンパ球, 組織球, 巨細胞から構成される肉芽腫性反応がみられ, 角層および毛包内外にPAS, Grocott染色陽性の菌要素が存在した。治療はテルビナフィン125mg/日経口投与にて1週後には膿疱は消失し, 2週後には軽度の鱗屑を残すのみで治癒と判定した。平成4年12月現在, 再発はみられない。本剤はケルスス禿瘡に対して極めて有効かつ安全性の高い治療法のひとつと考えられた。また, 本邦における70歳以上の高齢者に発症したケルスス禿瘡25例を総括した。その特徴として, 1)女性に罹患し易い, 2)原因菌は25例中13例(52%)がT. rubrumで, 3)ステロイド剤の外用が誘因となり, 頭部浅在性白癬より移行したと思われる症例が多いなどが挙げられた。
  • 平松 正浩, 龍野 佐知子, 野口 俊彦, 加藤 一郎, 向井 秀樹, 田沼 弘之
    1994 年 56 巻 3 号 p. 538-541
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    38歳の男性の臀部に生じたFonsecaea pedrosoiによるクロモミコーシスの1例を報告した。20年前の外傷の既往後に左臀部に境界明瞭な紅色局面が存在。5-FC 9g/日内服, 温熱療法により治療。順調に軽快するも投与22日目に全身症状を伴った紅斑を全身に生じた。パッチテスト, DLSTとも陽性で5-FCによる薬疹と診断, 以後5-FC投与断念しテルビナフィン125mg/日投与にきりかえた。投与7週で紅色局面は扁平化するも250mg/日へ増量, 投与後14週で略治した。しかし, 19週後, 一部に再発がみられ, 温熱療法を併用, 21週目には略治した。
  • 堀内 早苗
    1994 年 56 巻 3 号 p. 542-547
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    茨城県内の2大学附属病院と基幹病院を中心とした16施設で, 塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)のそう痒性皮膚疾患に対する共同臨床研究を実施した(表1)。対象疾患および症例数は, 蕁麻疹110例, 湿疹·皮膚炎133例, 皮膚そう痒症75例, 痒疹13例の合計330例である(表2)。全般改善度はいずれも75%以上の改善度を認めた。とくに蕁麻疹では高く, 皮膚症状としてそう痒, 膨疹, 紅斑において投与2週間後の改善が著明であり, 急性のみならず, 慢性蕁麻疹においても改善を認めた。副作用は330例中18例20件認められ, 眠気が4例でそのほとんどが軽度, 中等度であり重篤なものではなかった。有用度(「きわめて有用」「有用」)はいずれも75%以上でありそう痒性皮膚疾患に対して塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)は有用な治療薬であると考えられた。
  • 土岐 尚親
    1994 年 56 巻 3 号 p. 548-554
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    各種そう痒性皮膚疾患622例(蕁麻疹106例, 湿疹·皮膚炎群478例, 皮膚そう痒症群45例, 痒疹1例)を対象とし, 塩酸アゼラスチンの臨床効果を検討した。最終全般改善度は, 著明改善14.8%, 改善63.7%, やや改善19.6%であった。診断名別の改善度(改善以上)では, 蕁麻疹83.0%, 湿疹·皮膚炎群78.1%, 皮膚そう痒症群71.2%, 痒疹100.0%であった。重症度別改善度では, 中等症で78.2%と高く, とくに重症では86.3%であった。皮膚所見の改善度推移を蕁麻疹の発斑, 湿疹·皮膚炎群の紅斑·丘疹よりみたところ, 投薬後3日∼1週間と比較的早期に改善がみられた。副作用は19例に認められたが, その内15例は眠気でとくに問題となる例は無かった。総合的判断による有用度はきわめて有用, 有用合わせて77.2%, やや有用以上では97.0%であった。
  • 桐生 美麿, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 3 号 p. 555-561
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    多施設において蕁麻疹, 湿疹·皮膚炎, 皮膚そう痒症, および痒疹に対してアゼプチンを使用し, その臨床効果, 安全性, および有用性を検討した。回収総症例1117例のうち, 安全性の検討に1106例が採用され, うち803例が効果判定に採用された。その結果, 「改善」以上の改善率は, 蕁麻疹で79.7%, 湿疹·皮膚炎で83.5%, 痒疹で80.0%と高値を示し, 皮膚そう痒症においても65.3%と良好な値を示した。また, 全疾患では80.9%と高い改善率を示し, 副作用は40例(3.6%), のべ48件みられたが, 軽度のものが多かった。「有用」以上の有用率は, 蕁麻疹で78.4%, 湿疹·皮膚炎で81.9%, 皮膚そう痒症で63.3%, 痒疹で80.0%と, いずれも高い値を示した。以上より, 本剤は皮膚そう痒性疾患に対して, 非常に有用な薬剤であると考えられた。
  • 菊池 朋子, 野村 和夫, 橋本 功
    1994 年 56 巻 3 号 p. 562-568
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    16歳から86歳までの帯状疱疹73症例について, 内服アシクロビル(ゾビラックス®錠400)の有用性を検討した。対象は発症6病日以内の症例とし, ゾビラックス®錠400を1回2錠(800mg), 1日5回, 7日間投与した。その結果, 軽症および中等症の帯状疱疹に対して96%の高い有効率および有用率を示した。とくに発症3日以内投与開始群は4日以降投与群に比べ, 紅斑·丘疹, 膿疱, 糜爛の観察項目について有意の改善効果, および疼痛抑制傾向を認めた。年齢別臨床症状の推移では, 60歳以上の高齢者に比べ, 60歳未満群は皮疹改善効果および疼痛抑制効果が大きい傾向を示した。帯状疱疹後神経痛の発現は, 調べ得た59例中, わずかに10%であり, これは高齢者に多かった。副作用調査の対象となり得た92例中では, 8例にGPT上昇(5件), トリグリセリド上昇(4件)など計11件の臨床検査値異常が認められたが, ほとんどが軽微であった。以上より, ゾビラックス®錠400は軽症および中等症の帯状疱疹に有用であると考えられた。
  • Terbinafine研究班
    1994 年 56 巻 3 号 p. 569-577
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    まれな爪真菌症である爪カンジダ症を対象として, terbinafine 125mg錠の1日1回1錠投与での有効性, 安全性を検討するために, 全国34施設からなる共同研究班を組織し臨床試験を実施した。総症例数は32例で, 爪白癬の1例は安全性のみ採用したため, 有効性·有用性については31例を, 安全性については32例を解析対象とした。真菌学的効果における菌陰性化率は63.3%, 最終臨床所見判定での改善率は71.0%, 最終総合効果判定での有効率は67.7%であり, 十分な治療効果が得られた。副作用は4例(12.5%)に認められた。症状は胃部不快感などの消化器系症状, 食欲不振, ふらつき, 好酸球数上昇, BUN上昇で, いずれも問題となる高度あるいは重篤な症状は認められなかった。有用性判定での有用率は, 71.0%であった。以上, 爪カンジダ症というまれな疾患を対象としたため, 症例数が少なくterbinafineの臨床評価を下すには十分とは言い難いが, 本邦において本疾患の明確な治療薬がない現状を考えると, 今回得られた成績は, 本剤が爪カンジダ症に対し有用な薬剤であることを示唆したといえよう。
  • 石倉 多美子
    1994 年 56 巻 3 号 p. 578-583
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    外用療法のみでは完治が困難で, 一般的に経口療法が必要と考えられる爪白癬10例, 角質増殖型手·足白癬2例, 広範囲生毛部白癬2例の計14例に対して, テルビナフィン125mg錠の1日1回投与での有効性, 安全性について検討を行った。その結果, 有効率は爪白癬88.9%, 角質増殖型手·足白癬, 広範囲生毛部白癬ともに100%という優れた治療効果が得られた。副作用および臨床検査値の異常は1例も認められず, 総合効果と安全性を加味した有用率は爪白癬で88.9%, 角質増殖型手·足白癬, 広範囲生毛部白癬ではともに100%であった。また, 従来行われていたグリセオフルビン内服による爪白癬の治療期間を短縮できる可能性が示唆され, 今後の本疾患の治療において患者負担が減少し, 大いに有益と思われる。さらにはグリセオフルビンに奏効し難い症例や, 服用不可能な症例に対し本剤が有効であったことなどから, 本剤は優れた治療効果と高い安全性を兼ね備えた経口抗真菌剤であると考えられた。
  • Terbinafine研究班
    1994 年 56 巻 3 号 p. 584-594
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    比較的まれな皮膚真菌症を対象として, terbinafine 125mg錠1日1回(125mg/日)投与の有効性, 安全性ならびに有用性を, 全国34施設からなる共同研究班にて検討した。解析対象例数は, 有効性, 有用性については31例, 安全性については33例であった。各真菌症に対する有効性は, 頭部白癬(3例), ケルスス禿瘡や白癬性毛瘡などのいわゆる深在性白癬(7例), 白癬性肉芽腫(2例)については有効率100%, スポロトリコーシス(12例), クロモミコーシス(3例)については有効率66.7%, 慢性皮膚粘膜カンジタ症·カンジタ性肉芽腫(2例)については有効率50.0%であった。その他フェオフィオミコーシス(1例), 皮膚アルテルナリア症(1例)については無効であった。安全性は, 全例において副作用や臨床検査値異常などは認められなかった。以上, まれな疾患であり少数例での検討結果ではあったが, 本剤は上記皮膚真菌症に対して有用性の高い薬剤であり, 新しい治療法として十分期待できると考えた。
  • 堀 嘉昭, 中山 樹一郎, 今山 修平, 桐生 美麿, 古賀 哲也, 安元 慎一郎, 占部 篤道
    1994 年 56 巻 3 号 p. 595-602
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    G-511(プロスタグランディンE1·α-CD)軟膏の褥瘡, 難治性皮膚潰瘍に対する有効性と安全性を検討した。対象は褥瘡22例, 熱傷潰瘍4例, 血管障害性潰瘍4例, その他の潰瘍1例の計29例であり, 解析対象例は28例であった。有効率(有効以上)は全体で67.9%, 褥瘡では60.0%であった。投与期間中に副作用は発現せず, 安全率は100.0%であった。これらの結果からG-511軟膏は褥瘡, 難治性皮膚潰瘍の治療に有用な薬剤であると考えられた。
  • 強ミノC臨床研究班
    1994 年 56 巻 3 号 p. 603-608
    発行日: 1994/06/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    薬疹·中毒疹, 蕁麻疹に対する強ミノC 20ml静脈注射療法の効果を, 12施設の参加により, open studyで検討した。投与対象は113例(薬疹·中毒疹群49例, 蕁麻疹群64例)で, 薬剤は1日1回1アンプル20mlを5日間連続静脈内注射を行い, 効果を判定した。その結果, 主治医全般改善度判定は, 薬疹·中毒疹群49例では改善以上の有効率は71.43%(35/49), 初診時以降来院できずの1例を除く蕁麻疹群63例では, 改善以上の有効率は46.03%(29/63)であった。なお, 副作用は全症例に認められず, 本薬剤は安全性の面からも有用な薬剤と考えられた。
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