西日本皮膚科
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症例
Clear Cell Hidradenomaの2例
—抗ケラチン抗体を用いた免疫組織化学的解析—
佐藤 伸一堤 正彦北原 比呂人島田 真路岩田 充大塚 藤男渡辺 晋一
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1994 年 56 巻 4 号 p. 729-733

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抄録

Clear cell hidradenoma(以下CCH)の2例を報告した。症例1は32歳の女性で, 約6年前に生じた右後頭部のうずらの卵大腫瘤を主訴に, 症例2は46歳の男性で, 4年前に左前頭部の23×20mmの腫瘤を主訴に当科受診した。病理組織学的には2例ともほぼ同様で, 腫瘍は真皮深層から皮下脂肪組織にかけて存在し, 中央に大きな嚢腫様構造を伴っていた。腫瘍はclear cellとepidermoid cellで構成され, 腫瘍巣内には大小の管腔構造も認められた。この2症例について各種モノクローナル抗ケラチン抗体を用いて, 免疫組織化学的に解析した。CCHは正常の表皮内導管から分泌部にかけて存在するケラチンを幅広く有しており, CCHのclear cellは正常のエクリン汗器官の分泌部と, CCHのepidermoid cellは正常エクリン汗器官の表皮内および真皮内導管と, そしてCCHの管腔形成部は正常エクリン汗器官の表皮内および真皮内導管, 分泌部と密接に関連していると考えられた。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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