1994 年 56 巻 6 号 p. 1260-1265
岡山済生会総合病院および岡山労災病院で実施され, 手術時に生じた分層採皮創に対してキチン膜(商品名: ベスキチン®W, ユニチカ製)の重ね貼りと, 対照にLDPS, CASなどを用いたハーフサイドテストを行い, 使用効果について検討した。総合評価としてLDPS 1枚に対して70.6%がきわめて有効, 23.5%が有効との成績を得た。またCAS重ね貼りと比較した場合, 28.6%がきわめて有効, 57.1%が有効, 14.3%がやや有効とやや有効以上が全例であった。項目別評価において, 鎮痛効果, 表皮形成, 融解耐性, 治癒後の表皮の状態では優れる以上が70%以上と非常に高い値を示した。止血効果, 乾燥度, 簡便性ではベスキチン®Wの方が劣る症例は1例も認められなかった。このなかでもとくに疼痛の軽減および表皮形成で対照よりも優れている印象を受けた。滲出液に関しては対照と比べて治療の初期に多い傾向がみられたが, それ以降では対照よりも急速に乾燥した。表皮化に要する日数は対照に対して有意に速い傾向を示し, ベスキチン®Wの重ね貼りの効果がみられた。