1995 年 57 巻 1 号 p. 47-51
29歳の男性。21歳時よりCrohn病と診断され, 頻回の下痢, 腹痛が続いていた。3ヵ月前に肛囲に腫瘍が出現し拡大した。初診時, 肛囲に75×35mmの花野菜状の腫瘍を認めた。肛門部には外痔核, 内痔核および痔瘻が認められた。一般臨床検査では貧血, 低蛋白血症, 白血球の左方移動およびIgGの低下を認めたが, ツ反は陽性, DNCBの感作は成立した。注腸造影では下行結腸に不規則な狭窄像およびcobblestone appearanceがみられた。10%グルタールアルデヒド(GA)を1日1回塗布し, 週に1回凍結療法を併用したところ, 腫瘍は徐々に脱落し, 約7週間で略治した。GA外用4週目に軽度の刺激症状を生じたが, 濃度を7.5%に希釈したところ軽快した。GAと液体窒素凍結療法の併用療法は尖圭コンジロームに有用な治療法のひとつであると考えられた。