西日本皮膚科
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57 巻, 1 号
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図説
綜説
症例
研究
  • 後藤 多佳子, 行徳 隆裕, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1995 年 57 巻 1 号 p. 52-54
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
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    分泌型IgA(sIgA)は粘膜における感染防御に重要な役割を果たしているが, 汗と共に皮膚表面に分泌されるsIgAの働きはなお解明されていない。そこで皮膚表面におけるsIgAの機能を検討する目的で, 表在性皮膚感染微生物である癜風菌の角層内分布と, ランゲルハンス細胞の数と分布を, 汗管開口部との関係に注目して検討した。その結果, 癜風病巣内におけるMalassezia furfurは汗管開口部周囲には少ないこと, 一方ランゲルハンス細胞の数は表皮内汗管とその周囲には著しく少ないことが判明した。以上のことから, 汗とともに分泌されるsIgAは皮膚表面においても生体防御に関与しているのではないかと思われた。
  • 矢野 延子
    1995 年 57 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    仁形成体領域(NOR)の数と大きさが細胞の増殖や形質転換を反映しているといわれているので, 銀コロイド法(AgNOR)を用いて皮膚腫瘍について検討を行った。有棘細胞癌6例, ボーエン病6例, 老人性角化症5例, 基底細胞上皮腫6例, 脂漏性角化症4例, ケラトアカントーマ5例を対象とした。観察は顕微鏡下での直接鏡検, ならびに画像解析装置による測定である。その結果直接鏡検では, ボーエン病, 有棘細胞癌, 基底細胞上皮腫, ケラトアカントーマにおいてAgNOR数が多く, 特に有棘細胞癌においてはAgNORの大小不同, 形状不整が目についた。画像解析装置を用いると有棘細胞癌において数および面積が大で, これに次ぐのは老人性角化症, ボーエン病であった。ケラトアカントーマでは, 数は少ないが個々のものは均一且つ大型で, 面積では有棘細胞癌に次いだ。基底細胞上皮腫は, 直接鏡検での数は多かったが, 解析装置による値は小さかった。以上から顕微鏡下での直接鏡検および画像解析装置による数ならびに面積の結果を勘案することにより, 増殖後および悪性度の判断は或程度可能と考える。
  • —生存例の検討—
    山崎 雙次, 原 典昭, 藤沢 崇行, 天貝 成
    1995 年 57 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
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    PSS 26例の治療と経過につき報告した。主な治療としては低周波置針療法とprednisolone内服を行った。皮膚病変のうち皮膚硬化, 色素沈着, 指の拘縮などはacrosclerosis(A型)では不変例が多く, diffuse scleroderma(D型)では軽快例, 増悪例が共に認められた。肺, 消化器, 骨病変はいずれもD型に高頻度かつ高度に認められ, 1/2∼1/3の症例に増悪がみられたが, 軽快例は認められなかった。免疫学的には抗topoisomerase I抗体は皮膚病変, 内臓病変共に増悪例に多く, 特に内臓病変にその傾向が強かった。一般検査所見のうち血清γ-globulin値はD型に高値, 増悪例が多く, A型では正常例が多くみられた。合併症では鉄欠乏性貧血が注目された。皮膚硬化軽快例を検討したところ急激発症のD型男性例, または免疫学的所見で著明に高γ-globulinを呈した女性症例にはprednisoloneの投与を試みるべきと考えた。消化器, 肺などの合併症には早期の入院治療が大切であり, それによりこれら合併症は予想以上に改善した。
講座
統計
  • 高宮城 敦, 萩原 啓介, 上原 啓志, 宮城 嗣名, Abdul Manan Bhutto, 上里 博, 野中 薫雄
    1995 年 57 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
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    多発性立毛筋平滑筋腫の当教室例17例と本邦報告例87例について, 統計的観察をおこなった。男性41例(21歳から76歳, 平均43.1歳), 女性63例(14歳から87歳, 平均46.0歳)とやや女性に多かった。四肢, 背部, 胸部, 肩など比較的張力の強くかかる部位に多かった。自覚症状としては疼痛がほとんどで, 54例(51.9%)にみられた。腫瘍はほぼ同時期に発生し, 多中心性に多発することから何らかの発生因子が作用していることが疑われた。子宮筋腫合併例がかなり多く, 女性患者43例のうち25例(58.1%)にみられ, 子宮筋腫と同様エストロゲンとの関与が強く示唆された。発症時期別にみたところ, 血中エストロゲンが上昇する10歳代後半から40歳代に多く発症しており, 全体の75%を占めていた。われわれは当教室例13例に対し腫瘍部のエストロゲン·リセプター(estrogen receptor: ER)染色をおこなったところ, 6例(46.2%)に陽性を示した。これらのことから生来性にERを多くもつか, または高感受性のERをもった立毛筋が部分的に存在し, 血中エストロゲンが上昇する時期にその影響を強く受け, さらに皮膚の伸展など外的刺激が加わることが, 本症の発生因子のひとつではないかと考えた。
治療
  • 伝宝 憲一, 佐々木 哲雄, 中嶋 弘
    1995 年 57 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
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    レイノー現象を有するPSS患者21例に対し, 経口プロスタグランジンI2誘導体製剤であるベラプロストナトリウムによる治療を試み, 臨床上の有用性を検討した。1日60μg∼120μgを8週以上投与し, レイノー現象の程度を問診しレイノー日記により評価した。全般改善度では軽度改善以上は21例中13例(62%)であった。副作用は頭重感, 頭痛, ほてり感など21例中7例(33%)に認められたが, 全例減量で改善し継続可能であった。投与前後の一般臨床検査では異常な変動はみられなかった。本剤投与前後の血小板機能, 凝固線溶系検査でも有意な変動は認められなかった。以上より本剤はPSS患者のレイノー現象に有用と思われた。
  • —臨床的有用性の検討—
    向井 秀樹, 新井 達, 浅井 寿子, 武村 俊之, 加藤 一郎
    1995 年 57 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    小児のアトピー性皮膚炎の治療に海水浴療法が行われており, その作用機序として紫外線および海水の作用が考えられている。そこで今回この海水の作用に注目して, その有用性を検討した。方法は自宅の入浴時に海水成分に近い自然塩を用いて塩水療法を行った。対象は, 従来の治療法に抵抗性で重症度の高い46症例(小児17例, 成人29例)。全体の有効率は60.9%であり, 年齢別にみると小児94.1%, 成人41.3%と明らかな有効率の違いをみた。臨床効果を要約すると, 止痒効果が高く, 湿潤局面の改善や保湿効果などが認められた。副作用として, 使用時の刺激感および長期連用により乾燥肌の出現がみられた。比較的かゆみのコントロールしにくい症例に対して, 本療法は容易で有用性の高い補助療法になりうると考えた。
  • 古賀 哲也
    1995 年 57 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    乾皮症患者を対象に, ツバキ油配合カンピーノボディソープおよび精製ツバキ油, γ-オリザノール配合カンピーノボディローションの併用使用による臨床効果を検討した。ソープおよびローションを併用使用し, 経過·観察を行った結果やや有用以上が20例中19例(95%)であった。皮膚症状別では, 乾燥および鱗屑において顕著な改善効果が認められた。ソープおよびローションの各々における副作用はまったく認められなかった。このことからソープおよびローションの併用使用は乾皮症患者の日常のスキンケアとして非常に有用であると考えられる。
  • 林 弘子, 麻上 千鳥, 渡辺 真理子, 田上 八朗
    1995 年 57 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    薬用リップケアクリーム(ノブ薬用リップケアクリーム)の口唇炎に対する有用性と安全性を検討する目的で, 45名の患者に一般臨床試験を実施した。最終全般改善度は, 著明改善と改善, やや改善を合計すると, 2週間後で84%, 4週間後で98%であった。患者の自己評価による最終全般改善度は, 著明改善, 改善, やや改善を合計すると, 2週間後では81%, 4週間後で98%であった。総合判定では著明改善, 改善, やや改善を合計すると84%であった。また使用感については, 悪いあるいは少し悪いと答えた者は, 4週間後では3例(9%)のみであった。副作用は4例に認められたが, いずれも刺激症状で, 中止により症状は軽快した。今回の臨床試験から, この薬用リップケアクリームは4週間塗布によりアトピー性皮膚炎などの有無にかかわらず, 口唇の高度の乾燥, かゆみを特異的に改善させる有用なクリームであると思われた。
  • —中∼長期投与による検討—
    徳島大学エクラー共同臨床研究班
    1995 年 57 巻 1 号 p. 100-106
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    0.3%プロピオン酸デプロドン(エクラー®)軟膏およびクリームの臨床効果, 副作用(安全性)および全身的影響を検討するため, 徳島大学医学部附属病院皮膚科他7施設による市販後共同臨床調査を実施した。総収集症例数は40症例であり, 軟膏が36例, クリームが4例であった。疾患別では苔癬化型湿疹·皮膚炎群31例(慢性湿疹18例, アトピー性皮膚炎11例, 掻破性湿疹1例, 貨幣状湿疹1例), 尋常性乾癬9例であった。投与期間は7日∼112日(平均40.4日), 総投与量は5g∼350g(平均94.1g), 1日平均投与量は2.3gであった。軟膏(36例)の最終全般改善度は「改善」以上が75.0%, 「やや改善」以上が94.4%であり, とくに紅斑, そう痒, 浸潤·肥厚の各症状の改善が顕著であった。有用性は「有用」以上が77.8%, 「やや有用」以上が94.4%であった。クリームは収集症例数が少ないため, 副作用(安全性)のみの評価対象とした。副作用(安全性)は全40症例で認められず, すべて「安全」と評価された。血清コルチゾール値を軟膏·クリーム29例について短期·中期·長期投与別に集計したが, いずれの投与期間においても正常範囲内の推移であった。また, 末梢血好酸球数および血糖値も投与前に比べ有意な変動は認められなかった。以上の結果からエクラー®軟膏およびクリームは中∼長期投与を余儀なくされる皮膚疾患に対して効果が優れ, 全身的影響の少ない有用な薬剤であると考えられた。
  • 茨城県皮膚科共同臨床研究
    1995 年 57 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    1992年10月から93年3月までの間, 筑波大学付属病院皮膚科, および協力施設皮膚科を受診した慢性蕁麻疹156例(4週以上繰り返すもの), 物理性蕁麻疹(寒冷蕁麻疹, 温熱蕁麻疹, 人工蕁麻疹, 日光蕁麻疹, コリン蕁麻疹)31例(マルチカウント)を対象として塩酸アゼラスチン(アゼプチン®)の臨床効果, 安全性, および有用性について検討した。改善以上の改善度78.7%と高い改善率が得られた。副作用は164例中13例13件(7.9%)を認めたがいずれも軽微なものであった。安全性を考慮した有用度は有用以上が79.1%であった。以上より。本剤は慢性蕁麻疹, 物理性蕁麻疹に対し臨床的に有用性の高い治療薬と考えられた。
  • 岡野 伸二, 浜中 和子, 片岡 和洋, 矢村 宗久, 瀬分 秀伸, 森田 健司, 山本 昇壯, 波多野 裕二
    1995 年 57 巻 1 号 p. 112-119
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    ストレプトキナーゼ100,000単位, ストレプトドルナーゼ25,000単位を含有するバリダーゼ‹局所用›®について, 褥瘡を主とする皮膚潰瘍患者13例を対象に本剤の有効性, 安全性を検討した。最終全般改善度では「改善」以上の改善率は100%(13/13例)であり, 「有用」以上の有用率も100%(13/13例)であった。副作用は認められず, 本剤に起因する臨床検査値異常も認められなかった。以上より本剤は褥瘡などの皮膚潰瘍の治療剤として有用性が高いと考えられた。
  • —多施設による一般臨床試験—
    清島 真理子, 市橋 直樹, 森 俊二, 大谷 道廣, 井奈波 こと, 柳原 誠, 兼松 勲, 山本 明史, 藤廣 満智子, 福嶋 信夫, ...
    1995 年 57 巻 1 号 p. 120-126
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    12施設において, 褥瘡, 熱傷潰瘍, 糖尿病性潰瘍, 下腿潰瘍, その他の難治性潰瘍の患者28例を対象に, トレチノイントコフェリル軟膏(オルセノン軟膏)の有用性について検討した。1) 最終全般改善度の改善率は, 各々褥瘡78%(7/9例), 熱傷潰瘍80%(8/10例), 糖尿病性潰瘍80%(4/5例), 下腿潰瘍100%(2/2例), その他の難治性潰瘍100%(2/2例)であり, 平均では82%(23/28例)と高い改善率を示した。2) 熱傷潰瘍, その他の難治性潰瘍では2週後, 糖尿病性潰瘍, 下腿潰瘍では3週後, 褥瘡では4週後という比較的早期に半数以上の症例が改善に至った。3) 性状所見の効果発現時期は, 肉芽形成, 表皮形成, 分泌物の点で半数以上の症例において2週間以内の早期に効果の発現がみられた。4) 安全性については, 28例中1例に副作用(刺激感)が認められた。また臨床検査値異常は認められなかった。5) 有用性については, 82%(23/28例)と高い有用率を示した。
  • 強皮症フォトフェレーシス研究班
    1995 年 57 巻 1 号 p. 127-135
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    全国の多施設で全身性強皮症(PSS)患者27例を対象にコルチコステロイド内服の対照群(A)とフォトフェレーシス群(B)の内どちらかの群に施設別無作為抽出法で1990年8月より9ヵ月間に割り付け, A群完了後にB群に編入した群(C)の3群間で, 1クール6ヵ月の治療前後の各種臨床所見と検査値の推移を比較検討した。その結果B群では強指症と色素沈着に有意な効果がみられ, C群では白血球, リンパ球が有意に低下した。その他の項目やマーカーでは3群間に有意差はなかった。「やや有効」と「やや有用」以上は各々A群2例ずつ(15.4%), B群9例(75%), 8例(66.7%)と両群間に有意差がみられた。B群に吐き気/嘔吐などの一過性の副作用が8.6%にみられ, 「ほぼ安全」(6例)であったが, 他群の全例「安全」に比べ有意に高かった。臨床, 理学血液検査項目では, C群はA群と差がみられないことより, ステロイド剤投与後に実施したフォトフェレーシスは効果が上がり難いと考えられるため, 本療法はステロイド未投与例でかつ皮膚硬化と色素沈着改善を目的とした場合にのみ有用といえる。
  • 上出 良一, 荒瀬 誠治, 滝脇 弘嗣, 渡辺 晋一, 渡辺 靖, 景山 茂
    1995 年 57 巻 1 号 p. 136-142
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    日焼けによる「しみ·そばかす」の予防剤(XSC-29: エラグ酸0.5%を含有するクリーム製剤)の紫外線照射により形成される色素沈着に対する予防効果を評価するため, 対照薬剤としてXSC-29からエラグ酸だけを除いたクリーム製剤を用いて, 70名を対象に6週間の臨床試験を実施した。本試験はXSC-29および対照薬剤の両薬剤を各被験者が左右の腕に塗布する二重盲検群間比較法により評価した。その結果, 皮膚所見(上腕内側部に形成された色素沈着の程度)をもとにした改善度の比較において, XSC-29使用側は対照薬剤使用側に比べ高い改善を示した。またXSC-29, 対照薬剤の塗布による副作用は全試験期間中1例にも認められなかった。更に試験終了後, 改善度ならびに副作用の両面から有用度(XSC-29と対照薬剤の優劣比較)を求めたところ, 70例中60例(86%)においてXSC-29が「やや有用である」以上の有用性を示した。その内訳は, XSC-29が対照薬剤に比べ「極めて有用である」が5例, 「有用である」が46例, 「やや有用である」が9例となり, 統計的にXSC-29が高い有用性を有することが確認された(p<0.0001)。以上の成績により, XSC-29は紫外線照射による色素沈着に対して予防効果を有し, かつ安全性の高い製剤であると考えられた。またXSC-29が対照薬剤に比べ高い有用性を示したことにより, 主剤であるエラグ酸は日焼けによる「しみ·そばかす」の予防剤として有用度の高い薬剤であると考える。
  • 林 久, 赤沢 啓人, 池内 恒雄, 佐々木 司郎, 長江 哲夫, 福原 耕作, 武田 泰彦
    1995 年 57 巻 1 号 p. 143-149
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    ざ瘡患者102例(男性23例, 女性79例)にバナン®(cefpodoxime proxetil, CPDX-PR)1日200mgを1日1回と2回の投与群にわけて投与し, 投与前, 1週間後に病変部の分離菌検査を行い, さらに投与前, 1週間後, 投与最終日に臨床効果を観察した。全般改善度でみると1回投与も2回投与も共に1週間後, 投与最終日に80%以上の改善率であった。有用性についても両投与法で有意差なく80%以上の結果であった。分離細菌の検出率は投与前63%, 1週間後46%で, 全分離菌のうちP. acnesSt. epidermidisがそれぞれ33%を占めた。MICでみるとP. acnesの87%が0.05μg/ml以下であり, St. epidermidisについても67%が0.78μg/ml以下であった。副作用は3例にみられ, 軽度の消化器症状を一過性に訴えた。以上の結果より, バナン2錠を1日1回夕食後に投与する方法はざ瘡に対して有効な治療法であると考えられた。
  • 川名 誠司, 沈 国雄, 中村 健一
    1995 年 57 巻 1 号 p. 150-153
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹に伴う神経痛は求心路遮断性疼痛と考えられるが, その痛みの種類は単一ではなく, 遷延化すると患者の抑うつ, 不安などをひきおこし, それがまた痛みを増強させるという悪循環を繰り返すことがしばしばである。このような疼痛に対し神経ブロック, ステロイド剤, さらには三環系の抗うつ薬による鎮痛は効果的である反面, 大半の症例に口渇やふらつきなどの副作用が生じ, 治療の継続が困難になる場合が多い。そこで今回, 新たに開発された選択的な5-HT再取り込み阻害薬である塩酸トラゾドン(レスリン®錠)を用い, その臨床的有用性を検討した。その結果帯状疱疹に伴う神経痛を有する31例の疼痛は, 投与1週後から2週後に, 16例(51.6%)が消失し, 12例(38.7%)では半減した。また疼痛の軽減に伴って患者の抑うつ気分, 不安, 入眠障害, 中途覚醒も著明に改善した。さらに症例中2例の帯状疱疹後神経痛(PHN)については, 1例が投与1週間以内に疼痛がほぼ消失, 残る1例も半減以上に改善した。以上より塩酸トラゾドン(レスリン®錠)は帯状疱疹に伴う神経痛に対し, 有用性の高い薬剤と考えられる。
  • —16歳から50歳未満(若年群)および50歳以上(高齢群)での比較—
    名古屋大学皮膚科学教室関連施設帯状疱疹研究グループ
    1995 年 57 巻 1 号 p. 154-159
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹患者134例に対しアシクロビル(ゾビラックス®)錠を1回800mg, 原則として1日5回を7日間, 投与し, その臨床効果を16歳以上から50歳未満の若年群および50歳以上の高齢群の患者間で比較検討した。有効性の評価対象例数は若年群44例, 高齢群66例であり, 改善以上の有効率はそれぞれ88.6%および84.8%であった。皮疹の全般改善度では若年群が症状の改善や治癒がやや早い傾向を示し, 疼痛の推移でも若年群で疼痛の消失や軽減がやや早い傾向がみられた。臨床的な副作用は両群共みられなかった。臨床検査値の異常が6例にみられ, その内訳は, トリグリセライドの上昇が5件, GOT, GPTあるいはBUNの上昇が各1件であった。有用以上の有用率は若年群90.9%, 高齢群84.8%であった。アシクロビルの錠剤は, 16歳以上の帯状疱疹患者に対しては, 年齢を問わず高い有効性を示し, 経口投与可能な抗ウイルス剤として有用であると考えた。
  • 山中 清光, 大河原 章
    1995 年 57 巻 1 号 p. 160-167
    発行日: 1995/02/01
    公開日: 2011/07/20
    ジャーナル 認証あり
    ビダラビン3%軟膏(アラセナ-A軟膏)の帯状疱疹および単純疱疹に対する有効性および安全性を12施設による共同試験で検討した。総症例数は98例, その内訳は帯状疱疹57例, 単純疱疹41例(口唇ヘルペス22例, 陰部ヘルペス4例, その他15例)であった。その結果全般改善度は帯状疱疹で94.7%, 単純疱疹で100%であった。副作用は1例(1.0%)で軽度の皮膚局所の刺激症状が認められたが, 継続投与可能であった。アラセナ-A軟膏は有用性および安全性の高い外用治療剤であると考えられた。
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