西日本皮膚科
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治療
全身性強皮症患者のプロスタサイクリン製剤(Beraprost Sodium)
—副作用発現の背景の検討—
前田 学松原 勝利可知 久代森 俊二北島 康雄
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1995 年 57 巻 4 号 p. 825-828

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抄録

プロスタサイクリン製剤(beraprost sodium)を投与した全身性強皮症(SSc)83例(男:女=14:69), SLE3例, MCTD2例, 皮膚筋炎3例の計91例を対象に副作用を解析した結果, 不明例を除く88例中, 頭痛などの副作用は41例(46.6%)にみられたが, 初回量(2錠/日)で継続可能な例は12例, 減量することで継続可能な例は19例, 投与中止例は7例であった。副作用(+)群を軽度, 中等度, 高度別にし, Raynaud(R)症状を寒冷R症状と温熱刺激時のR症状に分け, Wilcoxon検定を行うと副作用軽度例で温熱R症状が有意に多い結果となった(p<0.05)。なお重症度(石川のスコア診断)と爪廓毛細血管顕微鏡像およびプレドニゾロン(PSL)内服の3項目で傾向あり(p<0.1)との結果を得たが, 爪上皮の点状出血, シルマーテスト, 涙液層破壊時間(BUT), ローズ·ベンガルテスト, ガムテスト, 免疫グロブリン, 血清補体, 抗核抗体, 抗SS-A/B抗体および他剤併用の異常/有無別と副作用(+)および(-)群別間には有意差はなかった。温熱R症状はSSc軽症例に多いため, SSc軽症例の方が本剤に対する血管壁感受性の強いことが示唆された。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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