西日本皮膚科
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統計
熱傷瘢痕癌
—鹿児島大学医学部皮膚科における過去10年間の経験—
大竹 直樹西 正行金蔵 拓郎瀬戸山 充神崎 保
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1995 年 57 巻 5 号 p. 1049-1052

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抄録

1985年1月から94年12月までの10年間に, 鹿児島大学医学部附属病院皮膚科において経験した熱傷瘢痕8例について, 統計的観察を行い既報告例と比較検討した。同時期に経験した全有棘細胞癌に対する熱傷瘢痕癌の割合は5.7%, 男女比は5:3で男性に多かった。熱傷受傷年齢は平均15.7歳, 熱傷受傷範囲は平均5.1%, 受傷部位は頭部2例, 躯幹2例, 上肢3例, 下肢1例で頭部, 四肢に多くみられた。受傷原因は, いろり7例, 25年間にわたる蒸しタオル療法1例と, いろりによるものが圧倒的多数を占めた。癌診断確定年齢は53.4歳, 熱傷受傷から癌診断確定までの期間は平均37.8年, 癌診断時病期はステージIが1例, IIが4例, IIIが3例だった。このうち3例の患者が熱傷瘢痕癌を原因として既に死亡している。病理組織学的に8例とも有棘細胞癌(以下SCCと略す)でその中の2例にエックリン汗腺系への分化を示すものがみられた。これらいずれの結果も既報告例と同様の傾向を示した。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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