西日本皮膚科
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治療
伝染性膿痂疹に対するバナン®ドライシロップの臨床的検討
—1日2回投与と1日3回投与の有用性の比較—
高木 晴美今泉 孝橋本 功
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1995 年 57 巻 6 号 p. 1212-1216

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抄録

ニュータイプの経口用セフェム系抗生剤であるバナン®(cefpodoxime proxetil, CPDX-PR)ドライシロップを幼小児の伝染性膿痂疹患者76例に使用して臨床的·細菌学的有効性, 安全性および有用性を検討した。さらに1日2回投与と1日3回投与の有用性を比較検討した。有効率は84.2%であり細菌学的効果を判定できた41例中菌消失率は27例65.9%であった。起炎菌が分離同定された症例は68例であり, その感染形態は単独菌42例61.8%, 複数菌は26例38.2%であった。また臨床分離株に対して最小発育阻止濃度の測定を行ったところStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus sp.に対していずれも3.13μg/ml以下であった。副作用は1例に軽度の下痢が認められたが重篤なものではなく薬剤の投与中止後速やかに改善した。臨床効果と安全性を勘案した有用度はやや有用以上が98.7%であった。1日2回投与と1日3回投与の比較検討では, 臨床効果は改善以上がそれぞれ82.4%と85.7%であり有意差はみられず, ほぼ同等の効果があった。また, 内服拒否により投与中止となった症例は1例1.3%のみであり, 高い服薬性を認めた。したがって, バナン®ドライシロップは伝染性膿痂疹に対してきわめて高い有用性を持ち, 特に幼小児患者においてfirst choiceで用いることができる抗生物質のひとつと考えられた。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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