抄録
培養ヒト表皮角化細胞に単純ヘルペスウイルスを感染させ培養上清中に産生されるインターロイキン1-α(IL-1α)を経時的にELISA法によって測定し, 紫外線(UV-B)照射の影響について検討した。培養ヒト表皮角化細胞はHSV感染12時間後頃からCPEを示し細胞の膨化, 巨細胞の形成などの形態学的変化がみられた。紫外線照射した表皮細胞では紫外線を照射していない対照の表皮角化細胞に比べてHSVの増殖が促進され, IL-1αの産生も亢進していた。これらの結果から, 紫外線照射により表皮角化細胞における単純ヘルペスウイルスの増殖はより容易となること, さらに紫外線は単純ヘルペスウイルス感染に伴って誘導される免疫学的な反応において, 表皮角化細胞から産生されるIL-1αなどのサイトカインの産生を変化させることによって影響を与え得ることが示唆された。