西日本皮膚科
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治療
フルコナゾール経口投与による角質増殖型足白癬に対する有用性および角質への移行性の検討
田沼 弘之土井 希文矢口 厚太田 幸則西山 茂夫勝岡 憲生
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1996 年 58 巻 4 号 p. 668-675

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抄録

角質増殖型足白癬6例を対象としてフルコナゾール100mgカプセルの1日1回8週間投与による有効性, 安全性および有用性を検討するとともに, 足蹠の罹患部における皮膚角層への移行性を検討するために血漿中および皮膚角質内薬物濃度を測定した。最終総合効果, 概括安全度, 有用性は全症例を解析対象とし, その有効率(有効以上)は100%(6/6)であり, 臨床検査値の異常変動を含め副作用は全例で認められなかった。薬物移行性の検討では皮膚角層において投与1週間後よりフルコナゾールが検出され投与4週間後には定常状態に達し, その平均濃度は12.8μg/gであった。この濃度は皮膚糸状菌(Trichophyton rubrum)の新鮮臨床分離株に対する幾何平均MIC(0.972μg/ml)の13倍以上に達する高濃度であった。さらに投与終了後1週間の角質内濃度の平均は7.2μg/gであり, 投与終了後5週間においても3.0μg/gであった。血漿中濃度は投与2週間後でほぼ定常状態に達し投与終了後1週間で検出限界以下となった。以上の成績より本剤は難治性といわれる角質増殖型足白癬に対して優れた有効性·安全性を示し, その薬物動態からも角質増殖型足白癬を含む各種皮膚真菌症の治療に対して有用な薬剤であると考えられた。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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