1998 年 60 巻 2 号 p. 130-133
41歳の女性。30歳頃Raynaud現象, 33歳頃皮膚硬化, 38歳頃皮膚石灰沈着をそれぞれ自覚した。毛細血管拡張と食道機能低下が認められ, 抗核抗体1280倍陽性discrete speckled pattern, 抗マイクロソーム抗体陽性で全身性強皮症(PSS)のCREST型と診断した。以後外来で経過観察中, 47歳時から腹痛と嘔吐を繰り返すようになり, 精査により腸管偽閉塞と診断され, 保存的治療で改善した。本症例では慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症の合併のためPSSによる腸管の蠕動障害がさらに悪化したと考えられた。