西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
抗真菌剤硝酸オモコナゾール(HOC-155)クリームの表在性皮膚真菌症に対する臨床評価
—ビフォナゾールクリームとの比較試験—
HOC-155研究班
著者情報
ジャーナル 認証あり

1998 年 60 巻 2 号 p. 231-252

詳細
抄録

1%HOC-155(C)の1日1回投与(以下1日1回群)と2日に1回投与(以下2日に1回群)における足白癬(趾間型, 小水疱型), 生毛部白癬(体部白癬, 股部白癬), 皮膚カンジダ症(カンジダ性間擦疹, カンジダ性指間糜爛症)および癜風に対する臨床的有効性, 安全性および有用性を既存の代表的外用抗真菌剤として汎用されているbifonazoleの1日1回投与(以下BFZ群)を対照として比較検討した。本治験は「新医薬品の臨床試験に関する一般指針」および「臨床試験の統計解析に関する一般指針」の概念に基づき, protocol compatibleによる解析(以下PC解析)とプロトコールで計画していないintent-to-treatによる解析(以下ITT解析)をおこなった。足白癬の効果についての同等性検定は, PC解析では1日1回群とBFZ群, 2日に1回群とBFZ群との間には検証されなかった。ITT解析では1日1回群とBFZ群との間に同等性が検証されなかったが, 2日に1回群とBFZ群との間に同等性が検証された。生毛部白癬ではPC解析およびITT解析いずれにおいても1日1回群とBFZ群との間に同等性は検証されなかったが, 両検定いずれにおいても2日に1回群とBFZ群の間に同等性が検証された。皮膚カンジダ症ではPC解析およびITT解析いずれにおいても1日1回群とBFZ群, 2日に1回群とBFZ群との間に同等性が検証された。癜風ではPC解析およびITT解析のいずれにおいても1日1回群とBFZ群との間に同等性が検証されたが, 2日に1回群とBFZ群との間に同等性が検証されなかった。さらに1日1回群および2日に1回群の合計(以下HOC群)とBFZ群の効果について検討した。足白癬では, PC解析でHOC群とBFZ群との間に同等性は検証されなかったが, ITT解析では同等性が検証された。生毛部白癬, 皮膚カンジダ症および癜風ではPC解析, ITT解析いずれにおいてもHOC群とBFZ群との間に同等性が検証された。以上より1%HOC-155(C)は2日に1, 2回塗布で各種皮膚真菌症に対して臨床的に有用な薬剤であると考えた。

著者関連情報
© 1998 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top