抄録
80歳の女性。5年前から両下肢に腫脹が認められていた。3ヵ月前から左膝蓋部に腫瘤が出現し, 以後膝窩部へも拡大した。生検で血管肉腫と診断された。rIL-2静注, 局注, dacarbazinとpirarubicinの化学療法はいずれも無効であった。電子線照射は局所病変には有効であったが, 2ヵ月半後全身の浮腫とDICのため死亡した。病理解剖で肝, 脾, 腰椎, ならびに左外腸骨, 大腿動脈, 傍大動脈および気管周囲リンパ節に転移が認められた。剖検により得られた患肢の横断面とplain CT所見を比較検討したところ真皮, 筋膜の連続性病変はCTでよく描出されていたが, 皮下の結節性病変は一部しか認められず造影CTが必要と考えられた。また正常リンパ管を染色する5'-nucleotidase反応は腫瘍周辺のリンパ管では陰性であった。