西日本皮膚科
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症例
肝硬変に併発した重症軟部組織感染症の3死亡例
Vibrio vulnificus, Aeromonas sobria, Aeromonas hydrophila感染の各1例—
立山 直宮国 均津守 伸一郎江良 幸三緒方 克己
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1998 年 60 巻 5 号 p. 653-659

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抄録

肝硬変に重症軟部組織感染症と敗血症を併発して死亡した3症例を報告した。症例1(65歳の男性)は, 腹水治療のため入院中であり, 刺身を食べた翌朝になって振戦を伴った高熱で発症し, 左手背に出血壊死性病変が生じ, Vibrio vulnificusが動脈血培養から同定された。デブリードマンを施行したが死亡した。症例2(52歳の男性)は, 肝硬変は放置していたが, 刺身を食べた翌夕に高熱と右下肢の激痛のある出血性腫脹と腎不全を併発し緊急入院となった。血疱の塗擦グラム染色でグラム陰性桿菌(後日Aeromonas sobriaと同定)が多数認められ, 直ちに右下肢切断術をおこなったが, 1日後に死亡した。症例3(58歳の男性)は, 通院中であり, 主治医は魚介類の生食は避けるように指導していたが, 高熱と右腕の深部静脈血栓症が疑われ緊急入院となった。病変は急速に進行し24時間以内に死亡した。その後Aeromonas hydrophilaが同定された。V. vulnificus感染症とAeromonas感染症を対比して考察した。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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