西日本皮膚科
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治療
コウジ酸配合製剤の長期使用試験成績
山本 享子海老原 全中山 秀夫大久保 惇比嘉 良喬
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ジャーナル 認証あり

1998 年 60 巻 6 号 p. 849-852

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抄録
コウジ酸は安全性と有効性が基礎および臨床試験において確認されて以来, 「日やけによるしみ·そばかすを防ぐ」目的で医薬部外品のクリームなどに配合され広く使用されている。医薬部外品は, 一般的に日常長期にわたって使用されるものであることから, 作用が緩和でしかも安全性の高いものでなければならない。我々は過去にコウジ酸配合製剤について有効性に関する報告を多くおこなってきたが, 医薬部外品としての使用状況を考慮し, 長期使用した場合の安全性が重要と考え, これまで試験をおこなった症例を中心に検討しまとめをおこなった。対象は, 肝斑が277例, 日光黒子が68例, PCD(pigmented cosmetic dermatitis)が70例の合計415例であった。年齢は, 40歳台から50歳台が最も多かった。使用期間は全て1年以上で, 最も使用が長期にわたった症例は, 肝斑の患者で14.25年であった。試験期間中, 有効性と使用部局所の皮膚に対する安全性とは別に全身的な影響, 血液生化学検査, 尿検査も実施した。その結果, 全身的な影響については血液生化学検査, 尿検査において異常所見は認められず, 安全であることが確認された。また, コウジ酸製剤の使用により使用部局所に皮膚症状がみられたが, 使用を中止することにより消失した。今回, コウジ酸製剤をヒトに長期使用した場合の安全性について検討し報告をした。
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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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