西日本皮膚科
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研究
物理的蕁麻疹におけるオキサトミドによるヒスタミン, Eosinophil Cationic Protein(ECP)に対する抑制効果の検討
萩原 啓介新城 佳代半仁田 優子野中 薫雄
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1999 年 61 巻 1 号 p. 74-78

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抄録

琉球大学医学部附属病院皮膚科外来を1996年4月∼1997年3月の1年間に受診した蕁麻疹患者のうちインフォームドコンセントの得られた機械性蕁麻疹8例, 寒冷蕁麻疹3例, 日光蕁麻疹1例, 合計12例の物理的蕁麻疹を対象とし, それぞれの物理的刺激による誘発試験を施行し, その前後における血中ヒスタミン値, eosinophil cationic protein(ECP)値等の測定を行った。また, 治療としてオキサトミド内服2週間を試み, その後にも同様の誘発試験を施行しその結果を比較検討した。血中ヒスタミン値, ECP値はオキサトミド内服前誘発試験前後ではそれぞれ0.961±0.949→2.06±2.22ng/ml, 15.61±9.81→26.1±21.2ng/ml(平均値±標準偏差)であり, 誘発試験前後で有意な上昇が見られたが(Wilcoxon test, p<0.005(ヒスタミン), p<0.01(ECP)), 内服2週間後では有意差は消失した。誘発試験によりほぼ同時に両因子が変動していることから, 蕁麻疹の皮疹形成の初期にも今まで考えられていた以上に好酸球が関与している可能性が示唆された。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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