西日本皮膚科
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症例
重複癌患者にみられた遠心性環状紅斑の1例
平松 正浩清野 みき長瀬 彰夫新井 達向井 秀樹田代 征夫
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1999 年 61 巻 3 号 p. 279-282

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抄録
74歳, 男性。1994年9月, ボーエン病の既往あり。1996年10月胃癌が判明。12月より上肢, 大腿中心に10cm大までの類円形から楕円形, 環状から木目状で辺縁にわずかに浸潤を触れ表面に鱗屑を付着した紅斑を認めた。病理組織では真皮血管周囲にリンパ球の浸潤を認め, 蛍光抗体直接法で基底膜にIgG, C3の沈着を認めた。個疹は, 2∼3週間の経過で胃癌を切除することなしに消失。また心不全があるため全摘不可能であったが, 以後再発は全くみられていない。本邦における悪性腫瘍に伴う環状紅斑は17例みられ, そのうち皮疹が先行したのは10例みられた。治療との相関がみられた症例は9例のみであり, 従来ほとんどの症例で相関があると考えられていたが, 実際には必ずしも相関しない症例もみられ経過中皮疹を注意深く観察する必要がある。
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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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