西日本皮膚科
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症例
産褥婦に生じた急性汎発性発疹性膿疱症
横山 眞爲子田中 達朗成澤 寛
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2000 年 62 巻 1 号 p. 14-17

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抄録
27歳の女性。21歳頃,解熱剤の静注で一過性の皮疹を認めたが詳細は不明。今回,第二子出産後の会陰裂傷のためミノサイクリン(ミノマイシン®),チアラミド(ソランタール®)の内服2日後に,紅斑と発熱を認め,急速に小膿疱が多発したため当科へ入院となった。入院時,体幹,四肢及び間擦部にびまん性潮紅を認め,小膿疱がほぼ均一に密生していた。検査所見では,好中球の増加と炎症所見を認めた。ベタメタゾン1日5mgより治療を開始し,皮疹及び全身状態は速やかに改善し,投与を中止しても再燃は認めなかった。病理組織学的には,表皮の不規則な肥厚,主に好中球による角層下膿疱,Kogojの海綿状膿疱,角化細胞の個細胞壊死,真皮浅層の浮腫,血管壁の膨化,小血管周囲のリンパ球,好中球,好酸球浸潤を認めた。以上の臨床像,病理組織学的所見より,本例を急性汎発性発疹性膿疱症と診断した。薬剤の摂取が誘因として考えられたが,パッチテスト,DLSTは陰性で,内服テストは施行できなかった。先行する感染症状はなく,水銀との接触歴もなかった。
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© 2000 日本皮膚科学会西部支部
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