83歳の男性。初診の約3ヵ月前より右腋窩に自覚症状を欠く皮疹出現。近医受診。右腋窩に小指頭大の結節を認め,その近傍に拇指頭大の皮下硬結を触知した。生検にて汗腺系悪性腫瘍が疑われ東京医科大学附属病院皮膚科にて,結節部全剔術及び右腋窩リンパ節郭清術を施行。病理組織では豊富な好酸性胞体を持つ異型細胞が真皮内に増殖して管腔構造を示し,一部では断頭分泌像が認められた。所属リンパ節は腫瘍細胞で置換され,ジアスターゼ抵抗性PAS(+),アルシアンブルー(+), EMA(+), CEA(-), secretory-component(+), GCDFP-15(+), BRST-3(+)であった。電顕にて細胞内に管腔形成,分泌顆粒を認め総合的にアポクリン腺癌と診断した。内臓悪性腫瘍の合併はなかった。全剔術後6ヵ月現在再発を認めていない。