西日本皮膚科
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症例
眼瞼外脂腺癌の2例
四方田 まり石井 文人西岡 昭二名嘉真 武国森 理橋本 隆
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2000 年 62 巻 2 号 p. 199-203

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抄録
83歳女性の頭頂部および90歳女性の背部に発生した眼瞼外脂腺癌を報告した。症例はHE染色では泡沫状細胞と好塩基性細胞の2種類からなり,泡沫状細胞の細胞質はズダンブラック染色陽性を示した。また電顕では泡沫状細胞は,その細胞質内に多数の脂肪滴を認め,好塩基細胞は核細胞質比が大きく,細胞内小器官が発達していた。脂腺癌の診断において,HE染色,ズダン染色,電顕だけでは脂腺分化を伴う基底細胞癌との鑑別が困難なことがある。私共はAnsaiらの報告の追試験を行い,まず予備実験としてhuman milk fat globules (HMFG) subclass 1および2が基底細胞癌には陰性であると確認した。自験脂腺癌症例は2例ともHMFG 1, HMFG 2の両方に陽性所見を示し,脂腺癌の診断に矛盾しない結果を得た。本邦における眼瞼外脂腺癌は自験例の2例を含め72例であった。好発部位は頭部,顔面で全体の約75%を占めた。
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© 2000 日本皮膚科学会西部支部
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