西日本皮膚科
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症例
多彩な症状を呈したHypocomplementemic Urticarial Vasculitis Syndromeの1例
久保田 由美子桐生 美麿中山 樹一郎古賀 哲也
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2001 年 63 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

59歳の男性。初診:1998年2月19日。初診の11年前より特発性間質性肺炎にてプレドニゾロン(PSL)内服中。3年前に膜性糸球体腎炎を指摘。初診の数年前より手指の腫脹,足趾の硬化,爪甲脱落,掌蹠の紫紅色斑があり,半年前に脱毛を伴う浸潤性の紅斑出現。その1ヵ月後,呼吸器症状とともに全身に紫斑を伴う浮腫性紅斑,環状を呈する紅斑が出現したため内科入院。血液検査で貧血,肝機能障害,血沈促進,免疫グロブリン,抗Clq免疫複合体の上昇,補体の著明な低下を認めたが,抗核抗体をはじめ膠原病関連の特異的抗体はすべて陰性であった。左大腿紅斑部の生検では,真皮全層の浮腫とleukocytoclastic vasculitisを認めた。諸症状はPSLの増量で軽快したが,1年後とその半年後に同様の症状が出現。皮疹は軽快したが,肺出血をおこしたため,PSLを大量投与し肺症状も軽快した。それとともに補体値も正常に復した。自験例は各膠原病の診断基準をどれも満たさず,現時点では,hypocomplementemic urticarial vasculitis syndromeという概念に合うと考えた。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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