西日本皮膚科
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63 巻, 1 号
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図説
綜説
症例
  • 岩切 加奈, 青木 見佳子, 川名 誠司, 中村 健一, 田中 道雄, 楠 俊雄
    2001 年 63 巻 1 号 p. 8-10
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
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    症例1:39歳の女性。初診の1年7ヵ月前に外傷を受けた右下腿に自覚症状のない皮疹が出現し,徐々に拡大した。47×40mm,境界明瞭で鱗屑,痂皮を付着する浸潤性紅斑を認めた。経過観察中に右下肢の他部位にも同様の病変が出現。症例2:22歳の女性。約6ヵ月前より両下腿のほぼ同じ高さの部位に皮疹が出現。40×40mmの点状潰瘍を伴う暗赤色浸潤性紅斑を認めた。2例とも細菌,真菌,抗酸菌培養陰性。合併疾患なし。病理組織学的には,真皮上層から中層の非特異的肉芽腫性炎症を呈していた。臨床像,経過及び病理組織学的所見より1988年にWilson-Johns, Winkelmannが提唱したsuperficial granulomatous pyodermaと診断した。
  • 守屋 千賀子, 石原 秀治, 肥後 順子, 木藤 正人, 小野 友道
    2001 年 63 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    31歳の男性。潰瘍性大腸炎(全大腸型)の診断で大腸肛門科にて加療していた。プレドニゾロン40mg/日投与で潰瘍性大腸炎の症状は改善したためプレドニゾロンを20mg/日まで漸減したところ口腔内に有痛性の粘膜疹が出現してきた。耳鼻科,歯科,内科でカンジダ症,薬剤性粘膜障害として治療されていたが症状変化なく,病変は口腔全体に拡大した。当科初診時,口腔粘膜に淡黄白色の小膿疱,びらん,潰瘍が多発し,いわゆるsnail tracksと呼ばれる配列を呈していた。また頬粘膜は乳頭腫症様に増殖していた。先行する潰瘍性大腸炎の存在と臨床症状,病理組織検査所見から潰瘍性大腸炎に伴うpyostomatitis vegetansと診断した。プレドニゾロン40mg/日の投与で口腔の症状は消失した。プレドニゾロン漸減中に症状の再燃をみたが,ジアフェニルスルホンの併用により軽快した。以上より副腎皮質ホルモン剤の全身投与とジアフェニルスルホンの併用は本症に有効であると思われた。
  • 久保田 由美子, 桐生 美麿, 中山 樹一郎, 古賀 哲也
    2001 年 63 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
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    59歳の男性。初診:1998年2月19日。初診の11年前より特発性間質性肺炎にてプレドニゾロン(PSL)内服中。3年前に膜性糸球体腎炎を指摘。初診の数年前より手指の腫脹,足趾の硬化,爪甲脱落,掌蹠の紫紅色斑があり,半年前に脱毛を伴う浸潤性の紅斑出現。その1ヵ月後,呼吸器症状とともに全身に紫斑を伴う浮腫性紅斑,環状を呈する紅斑が出現したため内科入院。血液検査で貧血,肝機能障害,血沈促進,免疫グロブリン,抗Clq免疫複合体の上昇,補体の著明な低下を認めたが,抗核抗体をはじめ膠原病関連の特異的抗体はすべて陰性であった。左大腿紅斑部の生検では,真皮全層の浮腫とleukocytoclastic vasculitisを認めた。諸症状はPSLの増量で軽快したが,1年後とその半年後に同様の症状が出現。皮疹は軽快したが,肺出血をおこしたため,PSLを大量投与し肺症状も軽快した。それとともに補体値も正常に復した。自験例は各膠原病の診断基準をどれも満たさず,現時点では,hypocomplementemic urticarial vasculitis syndromeという概念に合うと考えた。
  • —Notalgia Parestheticaに併発した1例—
    廣岡 実, 古城 八寿子, 阿部 重夫, 小野 友道
    2001 年 63 巻 1 号 p. 22-24
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
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    58歳の女性。初診の5年前より特に誘因なく上背部左側に限局してそう痒が出現し,掻破を繰り返していた。1年後,同部が白色化しているのに気付いたが放置していたところ,3年前より紙が貼り付いているような異和感を感じるようになった。病理組織学的には典型的な硬化性萎縮性苔癬であったが,臨床経過および発症部位からその一因としてnotalgia parestheticaが考えられた。
  • 内田 隆夫, 野中 浩充, 角地 智加子, 永田 茂樹, 末木 博彦, 飯島 正文
    2001 年 63 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    エトレチナート内服療法が奏効したsubcorneal pustular dermatosis(SPD)の2例を報告した。症例1:73歳の女性。躯幹,四肢中枢側に小児頭大までの紅斑局面が多発,融合し辺縁に小膿疱,鱗屑を伴っていた。そう痒は軽度であった。膿疱型薬疹,SPDを疑い生検。組織学的に角層下に好中球性膿疱がみられた。症例2:88歳の男性。頚部,腋窩,陰股部を中心に辺縁に膿疱,鱗屑を伴う紅斑が多発。そう痒が著明。組織学的に角層下から表皮中層に好中球性膿疱が存在。両例ともパーキンソン症候群を有し,血清IgA高値(M蛋白は陰性)。治療は両例ともエトレチナート内服療法(0.4mg/kg/日)が著効し,短期間に減景でき,副作用もなく皮疹を軽快もしくは治癒させることができた。今後本症に対し積極的に試みられるべき治療法の一つと考えられた。
  • 菅野 美紀, 籏持 淳, 新海 浤
    2001 年 63 巻 1 号 p. 30-32
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    48歳の女性。初診の4ヵ月前より,体幹,四肢に線状に配列し鱗屑を伴う,米粒大~小豆大の紅色丘疹が出現。皮疹の大部分は掻破部位に一致していた。生検病理組織で過角化,不規則な表皮肥厚,基底層の液状変性,真皮上層の帯状リンパ球浸潤がみられ,扁平苔癬と診断した。病因や誘発因子は明らかでなかったが,皮疹出現後約1年2ヵ月で徐々に自然治癒傾向を示し、1年7ヵ月後には略治した。
  • 阿南 隆, 園田 忠重, 仙波 紀子, 藤原 作平, 高安 進, 澁谷 博美, 高崎 修旨
    2001 年 63 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    57歳の女性。コントロール不良のインスリン非依存型糖尿病患者。足底にpapillomatosis cutis carcinoides Gottronを生じた。最終的には切除術を施行したが血糖のコントロールと創の保存的処置にて腫瘤および潰瘍の縮小と皮下硬結の軟化·縮小がみられた。術後8ヵ月目に血糖管理の不良に伴い,植皮片の一部に生じていた潰瘍の辺縁部より皮疹が再発したが再度の血糖コントロールと保存的処置にて皮疹は消失した。
  • 前島 英樹, 松本 京子, 宮崎 千春, 金子 聡, 三好 経子, 平松 正浩, 向井 秀樹, 庄古 知久, 角田 幸雄
    2001 年 63 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    57歳,男性。1995年頃より主に両下腿に激しいそう痒を伴う難治性の皮疹が出現。1997年11月当科初診時には,腹部主体に膿痂皮を伴う環状,類円形の紅斑を認めた。角層下膿疱症と考え,レクチゾール®内服を開始。皮疹は若干改善したが,1ヵ月後体重減少が出現し皮疹も再燃した。皮疹と臨床経過より,グルカゴノーマ症候群を疑った。血清グルカゴン値は,1740pg/mlと異常高値。 MRIでは膵体尾部と肝臓に腫瘍像を認めた。切除標本より,膵体尾部原発で肝臓に転移を伴うグルカゴン産生腫瘍と診断した。術後の経過は順調で,血清グルカゴン値は正常となり皮疹および腫瘍の再発を現在のところ認めていない。壊死性遊走性紅斑の基礎疾患としてグルカゴノーマの有無が問題となる。壊死性遊走性紅斑の既報告例と自験例の皮膚症状を検討したところ,高グルカゴン血症,即ちグルカゴノーマの症例では,そう痒を伴う率が高く脱毛は少なかった。一方,高グルカゴン血症のない症例ではそう痒を伴う率は低く脱毛が多かった。
  • —当科における転移性皮膚癌51例の統計的解析—
    丸田 耕司, 本田 咲子, 山元 修, 末永 義則, 旭 正一
    2001 年 63 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    症例1: 80歳の男性。後頭部の結節及び左下腿後面の皮下結節例。症例2: 80歳の男性。下顎,右側胸部,右大腿,右側腹部,両鼠径部の結節例。症例3: 77歳の男性。頭部,前胸部左側,背部の結節例。症例1,2では皮膚転移巣が原発巣より先に発見された。頭頚部皮膚への膵癌の転移の報告は少ないが,今回の3症例はいずれも後頭部領域に転移巣がみられた。加えて,産業医科大学皮膚科において過去19年間に経験した転移性皮膚癌51例について,統計的に検討した。
  • 山口 隆広, 清水 昭彦, 久保田 由美子, 桐生 美麿, 中山 樹一郎, 諌山 照刀, 古賀 哲也
    2001 年 63 巻 1 号 p. 48-50
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    66歳の女性。福岡県前原市出身。右肩甲下方に,直径5cmの半球状に隆起したゴム様硬の無痛性皮下腫瘤があり,触診にて下床との可動性を認めなかった。やや前屈し右上肢を内旋すると右肩甲下部に皮下腫瘤が出現するが,他の姿勢では触知できなくなり肉眼的にも確認できなくなった。臨床的に脂肪腫と診断し,局所麻酔下で全摘を試みたが皮下に腫瘤は認めず広背筋下に腫瘤を触知した。術前に撮影した胸部単純CT像を術中再度検討したところ,肩甲骨下に広背筋,前鋸筋を圧排する様に限局した腫瘤陰影を認めた。腫瘤全摘後,病理組織学的所見より弾性線維腫と診断した。肩甲骨付近の背部皮下腫瘤の診断に際し,弾性線維腫も鑑別診断の一つとして常に考慮すべきであると考えた。
  • 南 満芳, 村尾 牧子, 荒瀬 誠治, 伊勢 由美, 遠藤 秀子, 浦野 芳夫, 榊 哲彦
    2001 年 63 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    68歳,男性。主訴は右鼠径部の皮下腫瘤。部分生検を2回施行したが,皮下組織の肉芽腫,脂肪壊死をみるのみであった。真菌培養などの諸検査で,肉芽腫の原因を同定できなかったため腫瘤全摘出術を施行したところ,病変はリンパ節でKi-1 lymphomaであった。その周囲には前2回の部分生検と同様の肉芽腫病変,脂肪壊死が広汎に存在した。入院時,四肢にみられた魚鱗癬は腫瘍全摘後約3週間で消退した。CHOP療法を6クール施行後,他のリンパ節,臓器へのlymphoma cellの浸潤は認められなかったが,後に肺大細胞癌を合併し,初診後約3年半で肺癌の多臓器転移のため死亡した。自験例は病変リンパ節周囲に広汎な肉芽腫病変を伴っていたため,初期の生検では腫瘍組織を採取し得ず,悪性リンパ腫の診断ができなかった。非定型的な肉芽腫病変をみた時は,悪性リンパ腫も考慮し精査する必要があると考えた。
  • —最近15年間の本邦報告例の統計学的観察—
    小林 三保子, 小林 雅明, 角田 美英, 滝本 玲子, 坪井 良治, 小川 秀興
    2001 年 63 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    77歳の男性。初診の3ヵ月前より亀頭部のしこりに気付く。初診時亀頭部全体と陰茎体の一部に硬結を触れ,亀頭部から冠状溝にかけて小陥凹と潰瘍が多発した。ツ反は強陽性。胸部X線像に異常なし。抗酸菌培養は陰性。組織学的に類上皮細胞性肉芽腫を認めた。病変部生検組織からのpolymerase chain reaction(PCR)法による結核菌DNAは陰性。以上より陰茎結核疹と診断し,ネオイスコチン®300mg/日を3ヵ月間投与したところ,潰瘍は治癒したが,硬結は残存した。考察として最近15年間の本邦報告例22例をまとめ,陰茎結核疹の特徴を述べた。
  • 並里 まさ子, 寺井 典子, 上郎 一弘, 小川 秀興
    2001 年 63 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    症例1: 80歳の女性。1940年(23歳時)ごろLL型で発症し,スルフォン剤にて1960年(44歳時)ごろ寛解。29年後の1989年(72歳時),両手指の「冷たい」感じが出現し,その後運動障害も加わって,漸次増強した。さらに9年後の当科初診時,両手の著明な知覚·運動障害を認め,菌陽性であった。神経幹内に,抗酸菌を有する泡沫細胞とリンパ球浸潤を認めた。OFLX, DDS, RFPを2年間投与し,両手の不快感は著明に改善したが,運動機能の改善はほとんど認められなかった。症例2: 39歳のブラジル人男性。初診の約4年前ブラジルにて発症(病型不明)。RFPとDDSの少量·短期間内服で寛解した。約4年後右上肢痛が出現し,その2週後当科初診となった。皮膚の菌検査は陰性で,複数の神経幹に,肥厚·圧痛を認めた。皮膚では未分化群様の組織像を呈し,神経幹では,BT型に類似する肉芽腫とともに,初期の境界反応の所見を認めた。MDT/MB(PSL併用)を開始した。治療開始2週後,境界反応が明らかになり,一時PSLを増量した。1年間の治療終了時には皮疹,運動障害とも見られなかった。両症例とも,初診時には皮疹が見られず,神経症状が主訴であった。ハンセン病は,早期より何らかの末梢神経炎症状を伴うことが多く,後遺症を防ぐためには,その早期の診断と適切な治療が大切である。
  • 有馬 優子, 岩田 賢治, 濱崎 洋一郎, 片山 一朗
    2001 年 63 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 2001/02/01
    公開日: 2010/09/02
    ジャーナル 認証あり
    55歳の男性。カルバマゼピン(テグレトール®)とハロペリドール(ハロステン®,セレネース®)の内服開始後に発赤,水疱が出現しておりその両方を原因薬剤と疑った。貼布試験で両者は陽性反応を示し,組織学的にも初診時と同様の皮疹を誘発できたため,この2剤を原因薬剤と考えた。2剤の間に化学構造的類似は認められなかった。
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