2001 年 63 巻 5 号 p. 561-568
1996年から4年間に,進行期(stage IIIb以上)の悪性黒色腫8例を対象にDAC-Tam療法を行った。本治療により本当に延命効果が得られたのか,また適応を選んで幾つかの条件を付けて本治療を行えば効果が得られるのか,自験例から反省を含めて検討した。8例中特徴的な5例の経過を供覧すると共に,私見としてDAC-Tam療法が対象となる症例,およびそれを行ううえでの条件を提示してみた。(1) 転移病巣は可能な限り切除する。(2) in-transit metastasisも,これを切除のうえで本治療を行えば効果がみられる。(3) 過去の薬剤投与からの期間によっても効果に差がでる。DAC-Tamを転移病巣をターゲットとした化学療法として位置付けていくうえでも,また高いレベルのPR以上の効果を得るうえでも,今一度適応の条件を決めていくべきであると考える。