西日本皮膚科
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症例
チンチラより感染したArthroderma vanbreuseghemiiによる体部白癬の1例
小笠原 弓恵武藤 正彦小笠原 万里枝愼村 浩一比留間 政太郎
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2003 年 65 巻 2 号 p. 158-161

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抄録
症例は35歳,女性,主婦。約2週間前に鼻根部付近に示指頭大の比較的境界明瞭な同心円状の紅斑,丘疹が出現し,次第に皮疹は拡大した。初診時鼻根部付近に胡桃大の境界不明瞭な紅斑丘疹病変を認め,KOH陽性,体部白癬と診断した。同時期ペットのチンチラ(Chinchilla laniger)に脱毛斑があり,両者より皮膚糸状菌を分離し,発育性状からTrichophyton(以下T.)mentagrophytesと同定した。本分離株は,核リボゾームRNA遺伝子におけるinternal transcribed spacer 1(ITS 1)領域の塩基配列の解析により,Arthroderma vanbreuseghemiiと再同定された。治療はイトラコナゾール内服にて患者およびチンチラのいずれも治癒した。ここ数年ペット,特に齧歯類から感染したと推測されるT. mentagrophytes complexによる白癬の報告が散見されており,このようなケースではペットが感染源である可能性を考え,積極的に真菌検索を進めることが重要であると考えた。
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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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