西日本皮膚科
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症例
コルヒチンの奏効した後天性表皮水疱症の1例
徳丸 晶白方 裕司村上 信司藤山 幹子和家 由佳里橋本 公二駒井 礼子橋本 隆
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2004 年 66 巻 4 号 p. 342-346

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抄録

72歳, 女性。1999年11月頃より右舌縁に水疱を形成するようになり, 2000年8月頃からは肛囲にも紅斑・びらんを伴うようになった。水疱部の組織所見では表皮下水疱を認め, 真皮上層にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤を認めた。蛍光抗体直接法では表皮真皮境界部に線状にIgG, C3の沈着, 蛍光抗体間接法ではIgGクラスの抗基底膜抗体が40倍まで陽性であった。1M食塩水で剥離した正常ヒト皮膚を基質とした間接法では真皮側にIgGの反応が認められた。またEDTA剥離真皮抽出物を基質とした免疫ブロット法では, 患者血清は290 kD抗原と反応した。しかしながら, VII型コラーゲンのNC-1領域, NC-2領域のリコンビナント蛋白には反応が認められなかった。以上の所見からEBAと診断し, ミノサイクリン (200 mg/day)・ニコチン酸アミド (600 mg/day) 併用, DDS (50 mg/day) 内服を試みたが, 水疱の新生は抑制できず, プレドニゾロン (50 mg/day) 単独による加療を開始。口腔内の水疱新生は減少したが, 機械的刺激の加わる部位に新生を繰り返すため, プレドニゾロン単独では不十分と判断し, プレドニゾロンを30 mg/dayに減量すると同時にコルヒチン0.5 mg/dayを併用したところ, 併用開始後より新生は徐々に減少し, 1 mg/dayへ増量した時点で水疱の新生は認めなくなり, 臨床症状は劇的に改善した。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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