2004 年 66 巻 6 号 p. 564-566
大腸内視鏡検査直後に発生した急性動脈閉塞症による足趾潰瘍に, 高気圧酸素療法が奏効した1例を報告した。症例は高血圧, 狭心症の既往のある67歳の男性, 大腸内視鏡検査を受けた直後に右足のチアノーゼ, 疼痛が出現し歩行困難となった。発症10日目の皮膚科初診時には, 右足底末梢側はチアノーゼが強く, 血疱を認め, 足趾は壊死が進んでいた。右足底の皮膚生検では表皮全層の壊死と真皮深層の動脈に血栓塞栓像を認めた。MRアンギオグラフィーで右前脛骨動脈は途絶していた。プロスタグランジン製剤を点滴投与したが, 疼痛, 潰瘍, 壊死が改善しなかったため, 高気圧酸素療法を併用した。わずか1, 2回の治療で疼痛は著明改善, 計6回の治療終了後, 潰瘍は上皮化した。