西日本皮膚科
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症例
抗リン脂質抗体症候群とシェーグレン症候群を合併し高度の血小板減少をきたした全身性強皮症
稲沖 真丸岡 千晶笹江 舞子宮下 祐子藤本 亘正木 久男
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2004 年 66 巻 6 号 p. 567-571

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抄録

46歳の女性。流産を2回, 死産を1回経験。2カ月前から両手の指の腫脹と疼痛が生じたため当科に入院した。入院時, 手指の皮膚硬化と屈曲拘縮, 足趾のチアノーゼ, および左下肢の静脈瘤がみられた。前腕伸側皮膚の生検標本では真皮中下層の膠原線維の膨化と均質化が認められた。入院時検査で, 血小板8.8万/mm3, 抗セントロメア抗体(+), 抗SS-A抗体(+), ループスアンチコアグラント(+)。造影検査で腹部大動脈と左総腸骨静脈の閉塞像が認められた。眼科にて左眼の乾燥性角結膜炎が見いだされシルマー試験とローズベンガル試験が陽性であった。以上より全身性強皮症, 抗リン脂質抗体症候群, およびシェーグレン症候群の合併例と診断した。腹部大動脈から両側外腸骨動脈にバイパスを作成し, 以後ワルファリンカリウムなどによる抗血栓療法を継続した。初診の約12年後血小板が1.1万/mm3に減少した。プレドニン®1日量1mg/kg内服により血小板数は10万/mm3以上に回復した。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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