西日本皮膚科
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症例
タクロリムス軟膏外用が奏効した慢性光線性皮膚炎の1例
豊田 美都今福 信一瓜生 美樹師井 洋一占部 和敬古江 増隆
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2005 年 67 巻 2 号 p. 93-97

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抄録

60歳の男性。58歳頃から頭部,顔面に痒性の紅斑が出現し四肢に拡大した。ステロイド外用,抗アレルギー薬内服で改善なく,顔面に色素沈着および脱失を伴い,白斑黒皮症様の臨床像を呈した。UVAで8J/cm2と最小反応量(MRD)の低下,UVBで0.03J/cm2と最小紅斑量(MED)の低下が認められた。病理組織像は表皮肥厚,錯角化,海綿状態が見られ,真皮上層の血管周囲に炎症細胞の浸潤が認められ,慢性皮膚炎の像であった。以上より慢性光線性皮膚炎(CAD)と診断した。UVA 8J/cm2×3日間連続の反復照射試験部位には紅斑を生じ,同部の病理組織像は病変部のものと類似していた。顔面,頚部の紅斑は遮光とタクロリムス軟膏の外用で著明に改善し,以後9ヵ月間フォローしているが経過は良好である。タクロリムス軟膏はCADの治療に有効であると考えられた。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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