西日本皮膚科
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症例
集学的治療にて救命しえた,高齢者に生じたStreptococcus pyogenesによる壊死性筋膜炎の1例
中浦 淳谷川 治山口 宣久吉田 雄一久保田 由美子中山 樹一郎
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2005 年 67 巻 4 号 p. 354-357

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抄録

91歳,女性。右下腿に発赤,疼痛が出現したため,翌日当科を受診した。初診時,右下腿外側および足背は腫脹し,軽度の熱感を伴う紅斑および紫斑(中央部は一部壊死)を認めた。発赤,熱感は右大腿内側から鼠径部にも及んでおり,右鼠径部リンパ節の腫脹も著明であった。入院時検査にてWBC 8700/μl,CRP 32.2mg/dlであったため,壊死性筋膜炎を疑い,壊死部の切開および抗生剤の投与(ペントシリン®,ダラシン®)を行った。その後,局所皮膚壊死の拡大傾向を認めたため,デブリードマンを施行した。組織の培養にてStreptococcus pyogenesが検出されたため,抗生剤をペニシリン®Gに変更し大量投与を行った。本症は致死率が高く,急激な転帰をたどることが多いが,早期治療にて救命しえた。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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