抄録
30歳,女性。第2子妊娠23週4日。3年前より認めていた右足背の黒色結節が,妊娠を契機に急速に増大・隆起した。悪性黒色腫が強く疑われたため,妊娠28週まで待機し全摘生検した結果,結節型黒色腫(NM; nodular melanoma/tumor thickness 9mm,潰瘍あり)であった。妊娠29週で帝王切開による早期娩出が行われ,健常男児を出産した。出産後,全身検索を行いNM(stage II C/pT4bN0M0,AJCC/UICC 2002)と診断,局所の拡大切除および右鼠径リンパ節郭清術を施行した。術後DAV-Feron療法を施行中である。妊娠中に発見された悪性黒色腫は,特に慎重な治療方針の検討を要する。