西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎の睡眠障害(睡眠時過行動)に対する塩酸オロパタジンの効果
蜂須賀 淳一小河 祥子國場 尚志中原 剛士幸田 太師井 洋一占部 和敬古江 増隆
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2006 年 68 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

アトピー性皮膚炎の主な症状であるそう痒によって引き起こされる睡眠障害に対する塩酸オロパタジン(アレロック®)の効果を,痒みスコア表と睡眠時の体動状況を数値化できるActiwatch®を用いて検討した。3例のアトピー性皮膚炎患者を対象とし,睡眠中の体動を7連続夜から10連続夜で測定した。少なくとも3日間はアレロック®を内服させた。また就寝前に痒みスコアを記入してもらった。これらの測定を解析したところ,平均体動総数および体動時平均体動数と痒みスコアは有意な相関を示した。アレロック®を内服することにより3例中2例で有効性を自覚した。そのうち1例では痒みスコアと平均体動回数がともに減少した。もう一例では痒みスコアは減少したものの体動数に明らかな変化はなかった。一方有効性の自覚がなかった1例では痒みスコアも体動数もともに軽減しなかった。このことから夜間の痒みの客観的評価法として,Actiwatch®による睡眠時体動数の測定はある程度有用な方法であることが示唆された。

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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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