西日本皮膚科
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症例
播種性血管内凝固症候群を呈し,弾性ストッキングによる圧迫療法が有用であったKlippel-Trenaunay症候群の小児例
西岡 和恵高旗 博昭大淵 典子
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2006 年 68 巻 2 号 p. 146-149

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抄録

1歳5ヵ月,男児。出生時より左下肢を主体に右下肢,外陰部,臀部に広範な血管腫を認め,門脈大循環短絡症を伴っていた。血管腫にレーザー治療を受けるも無効で,立位歩行に伴い1歳3ヵ月頃から血管腫が急速に増大,2週間前より血管腫表面の出血が止まり難くなり当院小児科入院,巨大血管腫に起因する播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断で当科紹介となった。当科受診時,左下肢の血管腫のため下肢径の左右差顕著であった。ステロイド内服療法(3~0.5mg/kg/日),放射線療法(1Gy/日,8回照射),さらにINF-α注射療法(50~140万単位/日,18回)を施行されるも血管腫の縮小はなく,DICも持続した。そこで左下肢のテーピングによる圧迫療法を試みたところ,4日目より検査値が改善し,物理的圧迫が有効と考えられた。弾性ストッキングを特注で作製し圧迫を継続したところ,血管腫は著明に縮小しDICも軽快した。

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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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