西日本皮膚科
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症例
朱色刺青によるAllergic Dermatitisの1例
志賀 建夫横川 真紀緒方 巧二千々和 龍美川村 昌史中村 寿宏
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2006 年 68 巻 3 号 p. 244-247

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抄録

34歳,男性。右前胸から背部,右上腕にかけての刺青の施行から3年後に,感冒様症状が先行して刺青の朱色部に限局した発赤と腫脹が出現した。リンパ節腫脹,発熱,咽頭痛といった全身症状も伴った。発赤部からの皮膚生検では,真皮の刺青色素周囲に著明な組織球の浸潤がみられた。パッチテストにて塩化第二水銀が陽性であり,刺青の朱色色素である辰砂(硫化水銀)に対するアレルギー反応によるものと考えた。プレドニゾロン30mg/日の内服およびプロピオン酸クロベタゾールの外用にて症状は速やかに消退し,プレドニゾロンの漸減,中止後も症状の再燃はみられていない。本症例は刺青施行後3年間の間に2度同様のエピソードを示しており,いずれの際にも感冒様症状の後に本症が発症していることから,発症には感染症が誘因になっていると考える。

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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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