抄録
88歳,女性。左手掌に生じた傷が治癒せず,その3~4年後に急速に隆起し,紅色腫瘤となった。腫瘤部の皮膚生検にて汗孔癌と診断。動的シンチグラフィーおよびsingle-photon emission computed tomography/computed tomographyを用いた検査では,前腕屈側の深肘リンパ節がセンチネルリンパ節と考えられた。センチネルリンパ節生検および腫瘍切除術の結果,eccrine porocarcinoma,pT2N0M0 stage IIと診断した。センチネルリンパ節の部位および深さの確認に上記の画像検査法は有用であった。本症例で同定されたリンパ節はUICC分類で上肢のリンパ節に分類されていないリンパ節であった。またstage II以上の再発転移率が高率にみられるeccrine porocarcinomaでは,今後も注意深い経過観察が必要であると考えた。