抄録
退行期誘導因子であるFGF-5に対して拮抗的に働くFGF-5 inhibitorは,退行期への移行を抑えることにより脱毛防止の有望な物質になる可能性が示唆されている。我々は各種エキスのFGF-5拮抗作用をFGF receptor-1c-transfected Ba/F 3 cell lineおよびC3Hマウスを用いてスクリーニングし,ワレモコウエキス(Sanguisorba Officinalis Root Extract)にFGF-5活性抑制効果があることを見出した。特に,第二休止期のC3Hマウス背部を除毛後に本エキスを塗布すると,発毛日以降の成長期期間が延長した。一方,脱毛で悩む被験者39名の使用試験で,本エキスは抜け毛数および休止期毛率を有意に減少させた。ワレモコウエキスで観察された臨床的効果には,in vitroおよびin vivoで認められたFGF-5活性抑制効果が関与していることが推察された。