西日本皮膚科
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治療
シクロスポリン投与中の乾癬患者におけるテルミサルタンの腎機能及び血圧に対する効果·安全性の検討
今福 信一中山 樹一郎
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2008 年 70 巻 2 号 p. 204-207

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抄録

シクロスポリン(CyA)は乾癬治療薬として広く使用されているが,高血圧,腎障害,歯肉肥厚などの副作用がある。そこでCyA服用中の乾癬患者で高血圧を合併しアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を未使用の患者に対し,(1)新規または(2)カルシウム拮抗薬からテルミサルタン(ミカルディス®)への切り替えを行い,血圧,血清尿素窒素(BUN),クレアチニン(Cr)値を最低3ヵ月間観察した。また歯肉肥厚の副作用についても観察した。対象患者10例の内3例は新規群,7例は切り替え群であった。切り替え群の内2例は血圧コントロール不良のため,テルミサルタン投与1ヵ月後から切り替え前のカルシウム拮抗薬を併用したところ,その後の血圧コントロールは良好であった。血圧は新規群では低下,切り替え群では大きな変化はなかった。BUN,Cr値ともに6ヵ月後に著明な変化は見られなかった。エントリーした10例の内9例に歯肉肥厚が見られ,一部の症例においてカルシウム拮抗薬からテルミサルタンへの切り替えにより肥厚の改善が見られた。テルミサルタンは高血圧を有するCyA投与乾癬患者において良好な血圧コントロールを示し,カルシウム拮抗薬からの切り替えも安全に行えた。効果不十分例については他の降圧剤の併用や用量の調節を要すると考えられた。

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© 2008 日本皮膚科学会西部支部
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