西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
成人女性ざ瘡患者を対象としたスキンケア製品の使用経験と皮膚生理機能および患者QOLに及ぼす影響
 
窪田 泰夫松岡 由恵中井 浩三米田 耕造松中 浩村上 有美乾 まどか
著者情報
ジャーナル 認証あり

2008 年 70 巻 4 号 p. 429-435

詳細
抄録
成人女性ざ瘡患者31例を対象としたスキンケア製品(常盤薬品工業(株))の使用試験を実施し安全性と有効性を評価した。本製品はサリチル酸, グリコール酸, ビタミンCおよびE誘導体など角層剥離作用や皮脂の酸化防止作用が期待される成分を含有した「洗顔フォーム」, 「化粧水」, 「乳液」の3者からなる。8週間の使用試験を実施し, 約半数の患者で皮疹の改善がみられ, 全例に副作用はなかった。皮膚生理機能の指標である表皮角層水分量, 経皮水分蒸散量, 表皮皮脂量の変化のほか, ざ瘡の発症にその関与が示唆されるポルフィリン蛍光の毛包面積や角質細胞における酸化タンパク産生とケラチン16発現に及ぼす影響も検討した。表皮角層水分量以外のすべての値が試験終了時には有意に減少し, ざ瘡の臨床的改善との相関が示唆された。患者QOLをDLQIおよびSkindex-16により評価したが, 試験後は総合スコアのほか下位尺度の『症状, 感情』, 『仕事, 学校』, 『全体的な生活の質』の面で有意に改善された。以上より, 本試験に供したスキンケア製品は安全で, ざ瘡発症の病態上重要な因子に作用することで臨床的な皮疹改善に寄与した可能性が示唆された。本邦のざ瘡治療の選択肢は多彩になっていくと思われるが, 成人女性のざ瘡治療におけるスキンケアの意義は高く, ざ瘡治療の基礎となるものと考えられ, 皮膚科医から患者に積極的にスキンケア指導することも必要である。
著者関連情報
© 2008 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top