西日本皮膚科
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治療
乾癬のシクロスポリン1.2mg/kg内服療法
今福 信一中山 樹一郎福岡·沖縄地区CyA-MEPC乾癬研究会
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2008 年 70 巻 4 号 p. 436-441

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抄録

近年, 乾癬の治療でQOL向上を目的とした低用量のシクロスポリン(ネオーラル®)を用いるケースが少なくない。今回, ステロイド外用剤あるいはビタミンD3外用剤では効果不十分な尋常性乾癬患者25人を対象に, シクロスポリン2.0∼2.5mg/kg/day外用療法併用群(2.0mg/kg群)とシクロスポリン1.0∼1.5mg/kg/day外用療法併用群(1.2mg/kg群)における有効性と安全性を比較した。その結果, 寛解導入でのPASIは最終的に2.0mg/kg群で32.7±10.8から15.1±10.2(低下率54%), 1.2mg/kg群で14.2±12.1から6.8±7.9(低下率52%)と有意な改善が両群ともにみられた。そう痒スコアは2.0mg/kg群で2.1±0.8から1.1±0.8(低下率50%), 1.2mg/kg群でも1.5±0.8から0.5±0.7(低下率64%)に改善がみられた。血圧, 総コレステロール, 血清クレアチニン値の平均にはいずれの群もいずれの時点でも有意な変化はみられなかった。投与前と投与12週後に行った患者アンケートの結果では, シクロスポリン併用により両群ともに落屑の量, ふけの量, かゆみ, 治療の煩わしさは減少し, 治療に対する満足度は上昇した。費用負担については両群共に約半数がそれほど気にならないと回答した。シクロスポリン併用療法は1.2mg/kgの低用量でも皮疹, 痒みを改善し, 患者の治療に対する満足度を上昇させる可能性がある治療と考えられた。

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© 2008 日本皮膚科学会西部支部
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