西日本皮膚科
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症例
重篤な多臓器病変を呈した強皮症の1例
吉田 紫大村 恵子室 慶直富田 靖
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2008 年 70 巻 6 号 p. 610-613

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抄録

症例は55歳,男性。50歳時に間質性肺炎を発症。51歳時に筋力低下と手指の浮腫性硬化が出現し強皮症と診断した。シクロホスファミドパルス療法を計6クール施行により呼吸器症状と皮膚硬化は改善した。53歳時から頻回に気胸を発症し,胸膜癒着術を繰り返したが,呼吸困難が増悪したため在宅酸素療法を導入した。約1年後に筋炎の再燃を認めたためステロイドパルス療法と免疫グロブリン療法を施行し,筋炎は小康状態となったが,入院中に誤嚥性肺炎,不整脈発作や,強皮症性偽性腸閉塞を併発し,治療に難渋した。強皮症性偽性腸閉塞に対してはエリスロマイシンが奏効したが,エリスロマイシンによると思われる肝機能障害が出現したため中止し,最終的には在宅でも管理可能な中心静脈栄養を導入した。

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© 2008 日本皮膚科学会西部支部
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